夏のある日

じりじりと照りつける太陽。
生ぬるい風。
汗で濡れて、じっとりと張り付く衣服。
「……あっつい……もうほんとあっつい」
「うるさい、余計に暑くなるだろう」
「焔、毛あるしネェ。余計暑そう」
ヨウの言葉を皮切りに、焔、鬼が言う。
「ふぅ、今年の夏は例年とは比べられないほど暑いな」
縁側で座っていた焔の耳と尻尾は垂れていた。
「おや、なんだ三人とも情けないではないか」
そこへやってきた妖姫が苦笑を零す。
「やー、元気な妖姫がおかしいんだって」
ヨウが後ろに倒れて、妖姫を見上げた。
「そうか? まあ、涼風の術を施しているからな」
さらっと言った妖姫に、三人とも「え?」と妖姫を見る。
「なんですか、その術は。聞いたことありませんが」
「ああ、夏は暑いので術を組んでみたんだ」
「俺、教えてもらってないけど」
「若い者には必要ないと思ってな」
「オレに教えてヨ。死んじゃう」
「お前は術が使えんだろう」
三人の言葉、一つ一つに丁寧に返した妖姫は、
うだる三人を見て、ため息を吐いた。
「西瓜をいただいたんだ。食べるか?」
「食べる!」
「ぜひお願いしたいです」
「食べたいナァ」
ものすごい早さで食いついた三人に、妖姫はふっと笑うと、
「用意しよう」と歩き出す。
「手伝います」
すっと立ち上がった焔にヨウが反応した。
「おまっ そう言って、つまみ食いする気だろ! そうはさせねー!」
「貴様と同じにするな」
「妖姫ー 俺も手伝うからな!」
「ふふ ありがとう、ヨウ」
「え、なにそれ。オレ寂しージャン。オレも手伝うヨー」
結局、全員で台所に向かう。
そして、台所から出てすぐの外で食べることとなった。

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