かたぐるま 「いってらっしゃい!」 「「「いってきまーす!」」」 小学校へのスクールバスを見送ったニイナがリビングへと戻ると、すぐジェイクが足元へと駆け寄ってきた。 「ニイナ!」 「よーし、何して遊ぼっか?」 「おれとかけっこのしょうぶだ!」 彼女の手を引くジェイク。 ジェイクはこの時間が大好きだった。 年上がいない今、人気者のニイナを独占出来るからだ。 「よし!負けないわよー」 「ニイナ、はやく!」 「いくよ!よーい……ドン!」 フライング気味に走り出したジェイクはこの広い遊技場の端まで行くと壁にぶつかる勢いでタッチした。 「おれのかち!ニイナおっせぇ!」 「負けちゃった。ジェイク速いね!」 少しの差で遅れてゴールをしたニイナはジェイクの頭を撫でた。 「しょうぶだからな、ニイナばつゲームだ!きょうは……かたぐるま!」 ジェイクは撫でられる事に少し照れながら言った。 「はーい」 今まで職員にあまりなつかなかったジェイクは肩車をしてもらった事がなく、ワクワクして屈んで自分の足の下へ潜ってきたニイナの頭に手を置いた。 ニイナは、せーの、と掛け声をしながら立ち上がる。 「…っ!……」 「ほーら!…どう?私じゃあんまり高くないかな」 「………」 「ジェイク?」 急に大人しくなった彼の様子を伺おうとニイナが少し上を向こうとした時だった。 「うわっわわわ!や、やめろよ!おちるっ!!」 ジェイクは慌てたように頭にしっかりと抱き付いてきた。 「怖いの?」 「こ、こわくねー!」 言葉とは逆に腕の力は相変わらずで、ニイナは可愛さに笑みがこぼれた。 「あはは、じゃあ、もう罰ゲーム終わりね」 「わ!だっ、だめだかんな!このまま!!」 彼女が降ろすために屈もうとしたが、バランスを崩しそうになって再び騒ぎだしたジェイクによって制止された。 「んー、どうしようかなー……」 可愛いのだがこのままだと降ろせないことにニイナは困り果てて数分過ごした頃… 「お前たち何してるんだ…」 肩車で立ち尽くす姿に、呆れたウェスカーによってジェイクは抱き上げられなんとか救助されたのであった。 --- 親子共演ほっこり。 高所恐怖症じゃなくても、最初はびっくりするかな、と。 140328 |