▼帰ったら家が血の海 救急医の仕事は、かなりハードである。 しかし自分にとってはそれは別に苦ではなかった。元よりそんな事は覚悟してなった職であるし、子供の頃からーーいや、あの時以来。ずっとなると決意していた事であったのもある。 だがしかし、それでも、人間である限り疲労が溜まるのは仕方のない事だと思う。 今日こそは早く眠ろうと、一人暮らしには少々広い自宅へと帰る。 「ただいま」 返事はない。 当たり前だ。一人暮らしなのだから、返事などあったらあったで逆に怖い。 それでもとりあえず一声かけ、電気をつける。 ああもう今日の夕飯は近くのコンビニに弁当でも買いにいくか、と考えながらリビングに入った俺の目に最初に飛び込んで来たものは、真っ白な髪と羽織、そして床に飛び散った―赤。 「おい!ちょっ、アンタ大丈夫か!?」 落ち着いて見れば床に飛び散った血はそれほど多くはなかった。 床にうつ伏せに倒れている男の様子を見、外傷ではなく彼の体内から吐き出された物だと理解する。 見知らぬ男が何故自分の部屋に倒れているのかどうかはもう気にならなかった。(というかそれどころじゃない) とりあえず簡単な応急措置をしながら(本当に簡単にだ。歯がゆくなる程に)自分が医者でよかったと心から思った。 ** 救急医の仕事とかについては純情エゴ●ストとか参照して嘘八百です。つっこんじゃいけない(爆 index ×
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