俺は生きた | ナノ


  12 どこへ


「……どこ行くんだよ」
『アンタが行ったことない場所』


さあ行こう! となったまではいいが、蓮一には特に行きたい所もやりたいことも無いみたいで……

結局私が連れていくことにした。
学校には"具合が悪いから早退"と言っておいた。

電車に揺られ、移り変わる外の景色をぼんやりと見ている蓮一。
もしかして電車に乗るの初めてなのかな?


『そういえばさ、』
「ん?」
『蓮一は、この身体から出て 他の身体に入ることはできないの?』
「……無理だな。身体と魂には相性がある」


相性か……
柳くんは双子だから相性良かったのか。


『じゃあ相性が合えばできるの?』
「うまくいけば、な。できないことも無い。うまくいかなければ、そのまま死ぬ」
『死ぬって……そんな軽々しく……』


それだけ危険なことなんだ……


「俺は"意識的に"身体から離れられるし、もともと身体が無い分 普通の人間より身体から魂が離れやすい。それだけ"俺"は不安定な存在なんだ」
『……じゃあ、こうやって一緒にいられるのも奇跡なんだね』
「……そうだな」


フッと笑う蓮一。
……なんだ、こんな顔もできるんじゃん。

タイミング良く、次の駅のアナウンスが流れる。


『あ、次で降りるよ』
「……」


返事が無い。
見ると、眉間に皺を寄せ、外を見ている蓮一。
私も外を見る。

……あ…


『観覧車見えるね』
「……ああ」
『ちょうど今からあそこに行くんだよ』
「あそこに?」
『そう。遊園地に』

prev / next

[ back to top ]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -