54 感動の再会
「そういやねーちゃんの名前聞いてへんかったわ」
「あ、暁こと立海大附属中3年の五十嵐有梨です」
出会って数十分後にやっと自己紹介。
「ニマ厨他にいないの?」
「ユウくんがいるわよ!」
「……」
え、一氏ユウジ?
ユウくんにはできるだけ関わりたくなかったんだけど……
だってさっきからずっと睨んできてんだもん。
私何かした?
「あのう……一氏くん」
「……何や」
「私何かした? 不快になることしたなら謝るけど」
「
ちゃうわアホ!」
うるさっ
……ん?
この声どこかで聞いた気が……
「"お蔵(おくら)"」
「! 覚えててくれはったんか!?」
「覚えてるよ」
あれは私がこっちの世界に来て初めて生放送した時だ。
誰も来ず暇な私の枠に凸しにきてくれたのが"お蔵"さん。
同い年だったからすぐに仲良くなって……
でもその後私がちょっとずつ有名になっていったら生放送に来てくれなくなって……
「お蔵さん……なの?」
「せや」
「お蔵……お蔵さああああああああん」
「暁いいいいいいいいいいいい」
ガシッと抱き合って感動の再会。
さっきまでの睨みは照れ隠しかな?
即効ぜんざいPに引きはがされたが感動の再会は終わらない。
「初めてお前の声を聴いた時……"こいつは大物になる"って確信してたんや」
「そうだったの!? でも最近生放送来てないじゃん……」
「いや、俺みたいな奴が暁と喋るなんて……って思うて、ずっとロムってたんや。暁の生放送は全部聴いてるで……」
「そんな……コメントしてよ! またあの時みたいに凸しに来てよ!」
「すまん……暁、寂しい思いさせて……」
「お蔵さん……」
「
はい終了!!」
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