50 初対面
「
うえい!?!?」
何か耳元で囁かれたよ!?
くせ者じゃ!! であえいっ!!
バッと振り返ると、山吹色と松葉色のユニフォームが視界いっぱいに広がった。
ゆっくりと見上げると、黒髪で、端正な顔立ちで、オリンピックカラーのピアスをした……
「
でかっ!!??」
「
最初に言うことがそれっすか」
「ぶふっ それにしてもやっぱ
見た目だけお嬢様っすね
ブッフゥ」
「
笑うなら思いっきり笑って下さい」
ぜんざいPこと財前光くんと初対面です。
うわーまじイケメンー
性格は置いといて。
「有梨先輩、イメージ通りの人で良かったっすわ」
「私は意外とでかい貴方の身長にびっくりだよ」
「身長は高い方では無いんすけど……」
だってまだ中学2年生でしょ?
何だよウチの丸ブタよりもでかいじゃねーか畜生。
「そういや、他の人たちは?」
「食堂で昼飯食ってるっすわ。一緒に食べます?」
「いやあ、お恥ずかしいことに昼飯持って来てないんだよね」
「ああ、そうだろうと思って昼飯2人分持ってきました」
「素敵」
持っていたバスケットを見せる光。
なんて気が利く男なの……!
「いや、でも私あんな軍団の中に紅一点になる勇気なんてさらさら無いし」
「ああ……じゃあ二人で外で食べましょか」
「え」
ちょっと待て、と私が言うより早く、光は携帯を取り出し、どこかに電話をかけた。
「あ、もしもし謙也さん? 昼飯 外で食べるんで。じゃ」
携帯から謙也くんの慌てる声が聞こえたが、光はいつもの無表情でぶっちぎった。
謙也くん哀れなり。
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