「……え？ 何だってぇ？」
「聞こえなかったの？ そんなに悪い耳ならいっそ何も聞こえなくしてあげようか☆」
「五十嵐有梨元気でええええええっす！！」


怖い怖い怖い

聴覚どころか五感全部奪われるってば。


「あのぅ……２択ですか」
「そうだよ。俺とコンビになるか、テニス部のマネージャーになるか」


death or die


どちらかを選ぶしかないのか……
いや、しかし私には詐欺師という相方が、


「あ、大丈夫。ただ一緒に歌ってくれればいいだけだから。そこの詐欺師とコンビ解消なんてしなくてもいいよ」
「げ、」


……仁王が詐欺師だということはテニス部内では皆承知で、そのことを知らなかったのは詐欺師本人だけだったみたいだ。

詐欺師哀れなり。


「どっちか選んでくれたら２人への罰を軽くしてあげるよ」
「まじか！！ 早く選べ暁！！」
「五十嵐です。つーか、巻き込まれたのは、私」


丸ブタくんは自分のことしか考えられないのか。
まぁグラウンド２０００周だからか。
つか陸上部に迷惑だっつーの。

陸上部さんびっくりだよ。
「えっ！？ テニス部に唯一の練習場所取られた！！」
って。


「余計なこと考えてる暇があるの？ で、どっち？」
「……わかりました」

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