暁の空へ | ナノ


  10 命の数は1つだけ


うふふ、と微笑ましく大阪にいるであろう旦那を想像する。
正確には ぐへへ、と気持ち悪い笑みを浮かべて旦那を妄想していたが。


「しょうがないな。――光」
《っ、》
「ただし私のことも名前で呼んで」
《え、いいんスか》


きたよ。
ついに私の時代が!!


《……有梨》


〈有梨!!〉


「!!」


光の声がある人物と重なる。
元の世界の人だから、もう二度と会えない人。
突然その人との思い出が脳裏を過ぎる。

〈有梨、また今度な!!〉
〈次は絶対―――しような!!〉


「五十嵐? おーい、五十嵐ー?」
「ぁ、」
《大丈夫っすか?》


いけないいけない。
私としたことが。


「ごめんごめん、大丈夫!!」
《……やっぱり有梨先輩って呼びますわ》
「え、何で!?」


《いつか"先輩"を取るために残しておきます》


……神様。
私は光くんからどれだけ不意打ちのダメージをくらえばいいのでしょうか。
命がいくつあっても足りない気がします……


「や、やっだ光ってば私はブスだよ!?」
《仁王さん、有梨先輩ってどうなんすか?》
「普通に可愛いけど」
五十嵐有梨ただいま夢から覚めてきまーす!
「待て待て待て早まるな!!

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