96 もしかしたら、
「忘れ物無い?」
「おう。んじゃいってきます」
「早く帰ってきてね。あ・な・た☆」
「
やめろし」
熱の下がった仁王が部活へ行った。
弁当はちゃんと仁王がいつも使っている弁当箱で作ったよ。
さて、私は今日は東京の方に買い物に行くんだ。
携帯ストラップ壊れたので。
東京広いしテニプリキャラと会うことは無いだろう。
……たぶん。
さっそく支度をして家を出た。
パッと行ってパッと帰ってきたいからね。
近くのバス停からバスに乗る。
乗ろうと思ってたのより1本早いバスだけどまあいいか。
バスに揺られながらぼんやりと外の景色をながめた。
……最近、私は"私"について考えることがある。
"私はただのモブじゃないんじゃないか"
次のバス停のアナウンスが鳴る。
"私はモブのまま生きていけないのではないか"
誰かがバス停に並んでいたようで、バスが停まり、並んでいた人たちがバスに乗り込んでくる。
"もしかしたら私は"
「あれ、お前昨日の」
「っ!? 有梨っ!?」
"
テニプリキャラを引き寄せてしまうのではないか"
って……
もしそうなら、私はその運命に従おう。
「や、やあ。向日くん、宍戸くん」
抗うのは、きっと無駄なのだから。
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