変わらないもの
俺は、何かが変わったと信じていたけれど、やっぱりそれは妄想の中だけだったのかもしれない。
先日、春高で烏野高校に敗北し、先輩達は引退。俺を含めた一年と二年は新体制の青葉城西として練習が始まった。
「おい。国見聞いてんのか?」
部活を終え真っ暗なった田舎道を、金田一と歩いていた。同じ話ばかりしてくる彼の話を適当に流しつつ、物思いにふけっていた。俺らしくない。
「難しい顔して、何考えてたんだよ」
金田一は話を聞いてもらうより、話を聞く方に回ったらしい。面倒だが、今考えていたことを話した方が良さそうだ。
「別に難しい顔してたつもりは無いけどさ、こないだのこと考えてた」
「こないだっていうと、春高か?」
「そう。俺はさ何も変化がなくて、でも、烏野は恐ろしいくらい変わってた。それに少しビビったのかもな」
「国見でもそういうこと考えるんだな」
失礼なことを言うやつだ。足を軽く蹴ってやる。
「まあ、いんじゃね。俺達はこれから変われば」
「来年か?」
「おう。来年までに俺達は変わる。烏野よりな!」
ガッツポーズを見せ、遠い空を見る金田一の瞳に強い意志を感じた。
prev /
next