ハイキュー短編 | ナノ


  【菅原さんのお遊び】ターゲット:烏野


烏野高校男子排球部。
彼らはたまにミーティング等で借りている小さな会議室に勢揃いしていた。

天気は生憎の雨。
体育館は17時まで点検作業が入り、使えない。

時刻はもうすぐ16時をまわろうとしていた。


「こういう時ってなーんかだらけちゃうんすよねー」


田中が文字通り、だらーんと壁に寄り掛かりながら言った。
いつもなら "こういう時に勉強でもしてろ" "シャキッとしろ" などと言いそうな主将:澤村も今日は田中に同感だった。


「ま、雨の日ってそういう気分になるよなー」


いつもなら騒がしい連中も、今日は陰湿な空気を漂わせている。

――そんな中、静寂を破ったのは "烏野の爆弾" こと 菅原孝支だった。


「……なんだかグダグダしちゃう今日みたいな日にこそ、刺激的な、皆が楽しめる面白い何かが必要だと思うんだ」
「スガが何か言い出したぞ」
「題して!!」


菅原はバッと立ってホワイトボードに文字を書いた。



「"こんな烏野高校排球部は嫌だ"ああああああああ!!!!!!!!」






こんな烏野高校排球部は嫌だ






菅原「ということでやって参りました "こんな〇〇は嫌だ!" のコーナー!進行は私、烏野の貴公子こと菅原孝支が務めさせていただきます」


澤村「おい小説の形式まで変わってるぞ」

田中「きゃー貴公子さまー!」

西谷「こっち向いてー!」

澤村「めんどくさいからノるな!!」


菅原「さて、第一弾となります今回は、」

月島「第二弾もあるんですか……」

菅原「 "こんな烏野高校排球部は嫌だ" アアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

日向「ひゅー!」

影山「菅原さんカッケーっす!」

月島「ツッコミスルーはアカン」


菅原「てことで俺が今考えたの紹介していくね!」

ヒゲチョコッ「あ、そういう感じなのね……って何で俺だけヒゲチョコ!?しかも早口だし!」

菅原「まずは主将である大地から!」

縁下「今日の菅原さんのスルースキルは清々しいな」

澤村「え、俺からかー」



こんな澤村大地は嫌だ
・マザコン
・根暗
・お見合いしそうになった時「俺は取らなアアアアアアアアアアッハァイ!」といちいち言う
・歩く度にどこからかぽよぽよと音がする



田中「こんなの……キャプテンじゃねぇ……!!」

西谷「マザコンで根暗って……こんなのただの旭さんじゃないっすか!」

ヒゲチョコッ「えええ……」

澤村「上3つは置いといて、"歩く度にどこからかぽよぽよと音がする" って何だよこれ」

菅原「ド〇えもん的な」

澤村「それは俺が太ってると言いたいのか?ん?」

菅原「今 "こんなんなら嫌だね" って話だから」

澤村「……」

月島「"俺は取らなアアアアアアアアアアッハァイ!"って何か楽しそうですね」




菅原「じゃあ次は……」

山口「副主将菅原さんいってみましょう!」

月島「山口……!?お前、いつからそっち側に……!」

山口「ごめんツッキー……俺は最初っからこっち側なんだ」

月島「山……口……」

菅原「俺のは山口が考えてくれたよ!さあ山月してないで早く山口!」

山口「はい!」



こんな菅原さんは嫌だ
・眉毛がなくてつけボクロ
・名前を呼ぶ度に「スガ様と呼べ」と言ってくる
・ムキムキ
・全身真っ黒



ヒゲチョコッ「誰!?!?」

菅原「スガ様と呼べ」

影山「ムキムキな……菅原さん……」

月島「ちょっと変な想像しないでよ王様」

澤村「でも全身真っ黒は割と合ってないか?中身的に……」

一同「「えっ……」」




菅原「じゃあ次は我らがエース(笑)ヒゲチョコッ!」

ヒゲチョコッ「東峰旭です」



こんなヒゲチョコッは嫌だ
・超ワイルド
・スパイクが決まる度に「んんーっエクスタシー!!」と言う
・左腕に包帯を巻いている
・エクスタシー



ヒゲチョコッ「びっくりするほど中の人ネタだね!?」

菅原「ちょっと飽きちゃって。てへ☆」

日向「でも左腕に包帯巻いてたらレシーブやりにくくないですか?」

澤村「日向、これもしもの話だから」

西谷「旭さんが超ワイルドとか全然想像できませんね!」

影山「?エクスタシーって何だ……?」

月島「……王様はまだ知らなくていいよ」




菅原「じゃあ次は田中!」

田中「嫌な予感しかしねえ」



こんな田中は嫌だ
・髪がある
・服を着ている
・穏やか
・いつも痰(たん)がからんでいる



田中「まるで髪がなくて服を着ていないような言い方!髪ありますし服だって着てますよ!!脱ぎますか!?」

菅原「あー脱ぐのも嫌だな」

田中「じゃあどうしろと」

澤村「穏やかな田中は音駒の海とキャラドン被りだな(笑」

日向「え……田中さんっていつも痰からんでないんですか……!?」

田中「からんでいるように見えてからんでないよ!?」

澤村「お前ら田中を何だと思ってるんだ」




菅原「じゃあ次は西谷!」

西谷「っしゃこおおおおい!!!」



こんな西谷は嫌だ
・身長2m
・ネガティブで声が小さい
・美少女フィギュアのマニア
・悪魔の子



西谷「し、身長2mの俺は……嫌いですか……?」

澤村「確かに身長2mでリベロだと……なんか、なぁ?」

月島「まずそんなに伸びませんから安心してください」

西谷「んだと月島!」

ヒゲチョコッ「そして下二つは安定の中の人ネタ……」

田中「ネガティブで声が小さいノヤっさんなんてノヤっさんじゃねえよおおおお!」

菅原「田中、うるさい」




菅原「次は縁下!」

縁下「実はちょっと期待してます」



こんな縁下は嫌だ
・五感を奪う
・肩にジャージを羽織っている(でも落ちない)
・自主練に誘うと「すみません、もうすぐ召喚の時間なので……」と断られる
・でしゃばる



ヒゲチョコッ「中の人ネタ好きなの!?」

菅原「どう?縁下」

ヒゲチョコッ「無視か」

縁下「実はだいたい合ってます」

一同「「うっそん」」

西谷「じゃあ……あの時のアレは縁下の仕業だったのか……!」

縁下「ごめん西谷」

澤村「何があったんだ……」

縁下「というのは冗談です」

月島「何でだろう笑えない」




菅原「次は山口いくぞー」

山口「あっありがとうございます!」

月島「お礼言うものなの?」



こんな山口は嫌だ
・月島はどうでもいい
・頭上のアンテナで何かと交信する
・口が悪い
・イケメンに吹く風が吹いている



月島「こんなの山口じゃない」

日向「え、でも山口って割と口悪いよな?」

影山「頭上のアンテナってたまに動いてるし……」

山口「うん。だいたい合ってます!」

月島「ちょっと一つ目は違うでしょねえ違うって言って」

山口「必死か」




菅原「じゃあ次は月島なー」

月島「山口のでダメージハンパないんですけど……」



こんな月島は嫌だ
・眼鏡がなくて背が低い
・皆のことを"くん"付けする
・ジェントルメァン
・ケーキバイキングで最初にチーズケーキを食べる



日向「眼鏡がない時点でアウトだな」

山口「眼鏡がなかったらただのおまけだよね」

月島「それは何、眼鏡が本体的な?眼鏡以外の僕はおまけ的な?」

影山「ちょっと吐いてくる」

月島「ちょっと王様どこに吐く要素があるっていうの」

影山「……ケーキバイキングで最初に食べるのは……っショートケーキだろおおおお!!!」

月島「僕だってたまにはショートケーキ以外も食べるよ!?」

影山「っ……月島なんてもう知らねえ……!!」

日向「あっ影山!」

菅原「……おい月島……」

月島「ジェントルメァンたるもの嘘はつきません(キリッ」




菅原「じゃあ次は影山な」

日向「大丈夫か影山」

影山「走ってきたら何で飛び出してきたのか忘れた」

山口「イエス!!単☆細☆胞!!」



こんな影山は嫌だ
・愛想がいい
・コミュ力抜群でよく喋る
・誰にでも敬語を使う
・及川のファン



影山「orrrrrr」

日向「ぎゃああああ!!トイレで吐け!!」

月島「ぅぇっwwwwwwぉうぇえええええwwwwww」

山口「笑いながら吐かないでツッキー」

澤村「これは……及川のファンを除けばただのいい子だな」

ヒゲチョコッ「影山の良い不器用さを切り捨てたな」

菅原「俺は今の影山が好きだ!」



菅原「んじゃ日向いくべ」

日向「流れ的にそうだと思ってたけどなんか緊張するぅ」




こんな日向は嫌だ
・背が高くてコミュ障
・髪がサラサラ
・すぐキレる
・全身真っ黒



ヒゲチョコッ「出た全身真っ黒!」

月島「これまんま王様じゃないの(笑」

影山「否定はしない」

西谷「翔陽のあいでんてぃてぃを取ると影山になるのか……なるほど」

澤村「二人は正反対だもんな」




菅原「じゃあ次はマネージャー!」

清水「え……私とやっちゃんもやるの?」

谷地「ほぁ!?」

菅原「仲間外れはよくないべ?じゃあ清水から!」



こんな清水は嫌だ
・テンションがおかしい
・よくわからないボケをかます
・きゃー及川さーん
・谷地にマネージャーの座は渡さないわ!



澤村「誰だよ」

山口「これ菅原さんが言わせたいセリフ」

菅原「シャラップ山口!!」

西谷「そんな潔子さんも素敵ですただし及川は許さん」

田中「どんな潔子さんでも素敵ですただし及川は許さん」

縁下「こら及川は先輩だろ」

清水「縁下もね」




菅原「次はやっちゃん!」

谷地「うひっ」



こんなやっちゃんは嫌だ
・背が高い
・常に冷静
・色仕掛けが上手い
・ふがしを食べる姿がエロい



月島「ちょっと菅原さん、谷地さんで変な妄想しないでください(はぁ……まぁ確かにこんな谷地さんはちょっと……)」

影山「いくら菅原さんでもやっていいことと悪いことがあります(ふがしって何ですか)」

日向「今すぐその思考停止してください(背が高い谷地さんなんて谷地さんじゃないね!)」

山口「谷地さんは確かにたまにエロいなと思うことはありますが変な妄想に使わないでください(冷静になれたら谷地さん本人は嬉しいんじゃないかな)」

澤村「本音がだだ漏れだぞ1年」

谷地「ひょえええ……」




菅原「じゃあここにはいないけど武田先生と烏養監督もやっちゃおう!武田先生から!」



こんな武田先生は嫌だ
・会う度にケント・デリカットの真似をしてくる
・「駆逐してくる」と言って跳んでいく
・試合中とてもうるさい
・最近のギャル語を使いこなす



ヒゲチョコッ「古っ!ケント・デリカット古っ!!」

菅原「ちなみにケント・デリカットとは眼鏡を前後に動かして目を大きく見せる芸が有名なタレントだよ」

日向「あっ二番目は中の人ネタで研磨の仲間ですね!」

西谷「国語の先生としてギャル語はどうなんだ武ちゃん……っ!!」




菅原「じゃあ最後は烏養監督!」



こんな烏養監督は嫌だ
・常に玉こんにゃくを食している
・バレーができない
・瞑想とかよくわからない練習をさせてくる
・私服がオサレ



縁下「もう監督やめろよ」

日向「確かに監督の私服とかジャージしか見たことないな」

月島「常に食している玉こんにゃくにからしとかついてたらもうアウトですね」

澤村「基準は何なんだよ」




菅原「いやー結構面白かったね」

澤村「主にお前の感性がな」

影山「菅原さん最高っす!」

月島「ダメージハンパないけど暇つぶしにはなりましたダメージハンパないけど」

菅原「楽しんでいただけたようで結構結構。そろそろ体育館あく時間だしね。ちょうど良かった」

ヒゲチョコッ「え、本当だ……っ、まさか、ここまで計算して……!?」

菅原「……ふふふ、それはどうかな……ほら、皆 外を見て……!」

田中「……!?雨が……あがっている……だと……!?」

西谷「まさかこれもあなた様が……!!」

菅原「さあ皆、行こうか……目指すはオレンジコートだ!!」

日向「オレンジコート!!」






雨上がりの空には

小さな虹が架かって


雲の隙間から差し込む太陽の光が

俺らを照らしていた







(結局雨止んだのは偶然なんですか?)

(ああ、あれは縁下が止ませたんだよ)

(……ファッ!?)



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