1 現実
『っ!!』
目を覚ました。
そこは、ベッドの上。
しかし、自分のベッドでは無かった。
起き上がって辺りを見回すと、ベッドに寄り掛かり寝ている黒髪の少年がいた。
見たところ自分と年は近い。
『だ…れ…?』
少年は体中に痛々しい傷を負っており、呼吸も浅かった。
そのままにしておくわけにもいかず、彼の頭にそっと手を置き、
誰かからコピーした"治癒"のアリスを彼に使った。
次第に呼吸は深くなり、傷もなくなり、ほっとして手を退けようとした。が、
パシッ
『っ!!』
「…お前誰だ」
少年が起きてしまった。
『…わ、ワタシハダレココハドコ』
「
殴れば思い出すか?」
『
すみません嘘ですごめんなさい』
すぐさまベッドの上で土下座。
なんなんだこの少年は。
Sか。
顔を上げて少年の顔を見ると、黒髪に紅い瞳。
――私の中で、ある人物と重なった。
『…私は、藍原紗那。あなたは誰で、ここはどこですか?』
「…日向棗。ここは初等部寮の俺の部屋だ」
『初等部…?』
どこかの全寮制の学校にでも落とされたのだろうか、と思ったが、
彼の着ている制服に 何故か見覚えがあった。
『ここは…アリス学園…?』
「…」
日向棗くんは眉間に皺を寄せた。
「…お前、どこから来たんだ?」
『…え、』
日向棗くんは私の隣…ベッドの淵に腰をかけ、話し始めた。
「昨日の夜、俺がここに向かっている途中、空からお前が落ちてきたんだ」
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