53 きっと真実は…
「でも、聞こえた気がしたんや…"ごめんな"って言う、玲生先輩の悲しそうな声が」
『それで…その、玲生先輩は?』
「俺が目覚めた頃には、もう学園におらへんかったわ」
…そんなことがあったんだ……。
『でも先輩。声フェロモンでPFのメンバーも操られてたんじゃ?』
「いや、PFのメンバーの印の三日月のやつに、無効化とか結界とかのアリスストーンが埋め込まれとるんや」
へぇー
じゃあお守りみたいなものなのか。
PF以外の生徒にもそういうの配ってほしいものだ。
「……何や?」
『え?』
財前先輩が急に空を見て立ち止まった。
私も空を見上げる。
――そこには、黒い雲が広がっていた。
『雨でも降るんですかね?』
「せやな。少し急ぐで」
『はいっ』
私と財前先輩は小走りで病院へ急いだ。
「
そろそろ、か」
――不気味な黒い影が、にやりと笑った。
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