今まで何も喋られなかった大石先輩や乾先輩が口を開いた。


「そうか……不二が風使いのアリスを言わなかったように、越前も…」
「非公開のアリスがあることで、スパイ的行動をとれるわけだ」
「実は正義の味方でしたってかにゃ?」
「なら――」
「俺たちも、負けてらんねえなぁ、負けてらんねえよ」
「フシュー」


立ち上がっていく先輩たち。
でも――


『先輩たちは、何もしないで下さい』
「っ、え」
「――負の連鎖は、ここで断ち切る」
「、手塚」


――そう。
攻撃に攻撃を返したら、負の連鎖は止まらない。

だから、攻撃はしない。


「……紗那。この風は、紗那が?」
『……そうですよ』
「ま、紗那は自然のアリスだもんにゃ!」


……。
……コピーのアリス言うタイミング逃した……。

ま、いっか。
自然のアリスの"風"ってことで。
本当はコピーした不二先輩のアリスだけど。


「……あったかい、風だね」
『え、』
「アリスは……その人の心を映す……その人の鏡みたいなものだって聞いたことあるけど……その通りだね。――僕の風は、冷たくて強暴だ」
『違います』

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