30 そろそろ[主人公side]
[主人公side]
「不二。お前の負けだ」
「っ!」
手塚先輩がそう言った途端、不二先輩は一瞬ビクッと震えたが、やがて狂ったように笑い始めた。
「っはははははは!! 負け? 僕が? この状況で何を言っているんだい?」
ぐるりと私たちを見渡す。
「僕以外、僕のアリスに捕われて誰一人として動くことができないのに、どうして僕の負けだと言えるの?」
その通りだ。
今は確実に不二先輩の正論。
しかし手塚先輩は毎度のことポーカーフェイスで。
「……必要な情報は手に入った。――不二。お前の口から、な。……そろそろいいだろう……」
「っ? 何を、」
手塚先輩の目が、私……そしてリョーマを見て、鋭く光った。
合図。
「
藍原!! 越前!!」
「うぃっす」
『はーい』
「『
手塚先輩!!』」
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