26 記憶[主人公side]
[主人公side]
《ごめん……ね、――……!!》
《何も……してやれなかった……――……!!》
あれは……
私の……記憶……?
私は……何かを忘れているというの……?
でも、だとしたら……
あの映像は……
4人、人がいた。
2人は大人。
1人は幼稚園児か小学生くらいの子供。
1人は赤ん坊。
ぼんやりとしか見えなかったけど……
多分、2人の大人は私のお父さんとお母さん。
でも……子供と赤ん坊は……
霧がかかって見えなくなってしまった。
誰なんだろう……
「ねえ紗那」
『っ、何、ですか』
いけない。
今はこっちに集中しないと。
「本当にPF側につく気?」
『私は最初からPFの味方です!!』
間もおかずに返してやると、不二先輩はクスッと笑った。
「ふーん? いいんだ……
蝶姫のこと言っても……」
『っ!!』
「ちょう……ひめ?」
殺伐天使・蝶姫……
私の"裏"の名前だ。
……私は、今まで 任務で多くの人たちを殺してきた……
そんなこと、皆に知られたくない。
だけど――
『……言いたいなら、言ったらいいじゃないですか』
「、え」
『不二先輩が言いたいのなら、本心からそう思っているのなら、言ったらいいじゃないですか』
不二先輩は、私が予想外の返事をしたからか、驚いている。
何故私はこの返事をしたか。
それは――
『……私は、皆を信じてるから』
もし、裏の私を知っても、私を信じてくれるって……
受け入れてくれるって、信じてるから……
「…、」
『どうしたんですか? 言って下さい』
キッと不二先輩が私を睨んできたけど、私はもう何も怖くない。
『言いたいことがあるならはっきり言って下さい。不二先輩』
「っ、」
不二先輩が何も言えず、ただ握った拳を震わせていると、手塚先輩が声をあげた。
「不二。お前の負けだ」
「っ!!」
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