メルヘンゲット同盟 〜素直〜




メルヘンゲット同盟 〜素直〜


いのがシカマルを連れていく。

予定通りね。

手を振りながら、心の中でガッツポーズをとる。

さて、……私も、サスケ君と二人きりに……。

「ナルト。」

こっそり、ナルトに声をかける。ナルトはひとつ頷いた。

「サクラちゃん。俺は、真のメルヘンゲット同盟だってばよ。」

「話が早くて助かるわ。」

「おう!サスケには、俺に協力するよう言ってある。ポップコーン屋で決行するってばよ。」

「わかったわ。」

園内を少し歩いていると、食欲をそそる良い匂いがする。

ここね!

「なーんか、腹減らねぇか?なぁ、ヒナタ!並んで食わねぇ?」

「ふぇっ!わ、私!?」

「おう、行こうぜ。」

半ば無理やりヒナタを連れてくナルト。ビシッと親指を立ててこちらを振り返る。

軽く手を挙げるサスケ君。

よっしゃー!メルヘンタイムに突入よ!!

「悪いな、サクラ。」

「サスケ君、何が悪いの?」

「あぁ、あいつに頼まれたんだ。ヒナタと別行動したいんだとよ。いのとシカマルも行っちまったし、俺しか居ねぇ。」

「そ、そんな!何も悪くないよ。私としては嬉しいくらい。」

「……」

無表情のサスケ君。
あちゃー、また引かれちゃったかな?

サスケ君と目を合わせようとしても、全然合わせてくれないし……。

でも、そんなの承知の上よ!
折角の降って湧いたこのチャンス!
無駄になんてしないわよ!しゃーんなろーっ!!!

「どうする、帰るか?」

「えっ!?」

「俺は、そもそもナルトに付き合って来ただけだ。このままここにいる必要もない。」

「そ、そっか。で、でも折角だし、勿体ないし……1つだけで良いから、付き合ってくれない?」

「お前に付き合う義理もない。」

「じゃあ、何か飲まない?えーっと、……ん?ここ遊園地なのに、猫カフェがあるの!?」

『ピクッ』

「あー、そっかぁ。ここのイメージキャラクター、猫だもんね。最近流行ってるみたいだから便乗したのかな?しかも、人気メニューが『おかかおにぎり』って、猫に因みすぎだよね。」

「サクラ。」

「何?サスケ君。」

「そこに行ってもいい。」

「そこって、猫カフェ?」

「あぁ。」

「サスケ君、猫好きなの?」

「……あんまりうるせぇ事言ってると帰るぞ。」

「ごめんね、わかった。行こう。」

スタスタ歩くサスケ君。
危なかったー。
でも、とりあえず引き留め成功ね♪
小走りにサスケ君の横に並ぶ。



「ニャー」

うぉっ!また来たわ。

猫カフェ、初めてだけど凄いのね。

それに、ポーカーフェイスを貫いてるようで貫けてない、微妙に嬉しそうなサスケ君も見れたし♪

すり寄って、ゴロゴロ言ってる猫を撫でるサスケ君。


はぁ、猫になりたい……。


はっ!バカなこと考えてないで、会話よ会話!

「サスケ君、今日は来てくれてありがとう。」

「なぜ、お前が礼を言うんだ。俺はナルトに言われて来ただけだ。」

「それでも、私は嬉しかったから。」

「……」

返事のないサスケ君。
また引いちゃったかなー。

でも、今日はチャンスなんだから、攻めあるのみよ!サクラ!

「あのっ!」

「サクラ。」

話しかけたところで、サスケ君に呼ばれる。

「な、何?」

「前から言おうと思っていたが、何故お前は、俺が居て嬉しいとか言うんだ。正直、うぜぇ。」

「……そっか。気付かなくてごめんなさい。……私は、サスケ君が好きなの。ずっと好きだったの。……迷惑かもしれないけど、伝えたかった。」

うぜぇ。とまで言われたのに、告白するなんて……。私、バカだなぁ。

サスケ君にキャアキャア言い寄る女が多い中、結構上手に接していると思ってた。

ナルトの影響もあるだろうけど、三人で中学の頃から一緒に居ることも多かったし。

気持ちさえ伝えなければ、友達で居れたのかな?

でも、伝えることが出来た。
後悔なんて、してやるもんですか!

「サクラ。お前はどうして俺を乱す?」

「……えっ?」

「俺は、お前と居て、平常心が保てないのが困る。」

「……」

「嬉しいと言われて、心揺さぶられるのが困る。」

「……」

「俺を困らせるお前がうぜぇ。」

「……フフッ。」

「何が可笑しいんだ?」

「だって、私がサスケ君の心を揺さぶってたとか、有り得ないなって思って……。」

「サクラ、お前は俺をわかってねぇ。」

「うん。そうみたいだね。だからもっと知りたい。」

「そうか……。やっぱりお前はうぜぇな。」

「サスケ君って、素直じゃないよね。」

「……うるせぇ。」

あぁ、もうその表情だけで充分。
はっきり応えてもらってないけど、前に進む事が出来た。

「サスケ君。」

「何だ?」

「サスケ君の隣に居てもいい?」

「……勝手にしろ。」

「嬉しい……。」


素直じゃない。

わかりにくい。

甘い言葉なんて期待出来ない。

目を合わせようとしないサスケ君。
でも、バレバレだよ。
耳が真っ赤。

いつか、私の言葉にも慣れて、ちゃんと好きだって言わせたい……。

素直じゃないサスケ君に、私はどこまでも素直でいよう。

「……あっ!」

「何だ?」

「あっ、ううん、ごめんね。いのとヒナタ、どうなったかなって。」

「いのとシカマルは知らねぇが、ウスラトンカチが見境なくヒナタを襲ってねぇといいが……。」

「まっさかー。いくらなんでも公衆の面前で……。な、ナルトなら無くもないかも……。」



「「………………!!!!!」」



「いくぞ、サクラ!ダチを犯罪者にはさせられねぇ!」

「そ、そうね!仲間を見捨てる奴はクズよね!」

ヒナタ、あんた大丈夫なの!?







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