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仕度も終わらせルアーの家を出る。
その際彼は大きな袋を手にしていた。
鍵を掛け、道なき道へと進む。
「ほ…本当にこっちでいいのか…?」
「合ってますよ…近道なんです」
1歩1歩踏みしめるように歩く。
村へ近づくと、段々と会話が減っていった。
久しぶりに行くから緊張でもしているのだろうか。
彼は先導として前を歩いているので顔は見えない。
「人探し…」
「は?」
突然ルアーが口を開いた。
「人探ししてるんでしたっけ。
その人…見つけたらどうするんですか。」
「どうするって…どうしようか…」
正直決めかねている。
話だけするか、それとも…
「連れていったりしないんですか。」
どきり、と何故か胸を突かれる。
探し出してどうしたいのか、未だ自分でも分かっていない事だった。探すのに夢中でその後なんて全く考えてなんていない。
足下に集中できない。
気をつけないと木の根に足を取られそうだ。
「あとその人の特徴は?手がかりとか…
多少は力になれるかもしれませんし」
「手がかり…そうだな…俺みたいな…?」
「……なんですかそれ」
おかしそうにルアーが言う。
自分でも可笑しいなと笑った。
「あの村の真ん中には大きな図書館があるんですよ」
あと少し、という所でルアーが言った。
「あぁ、そこに用があるんだっけ。」
「はい。魔術書がどこよりもたくさんあるんです
また借りに行こうと思って…」
ルアーは手に持った袋の中身をこちらに見せた。
分厚い本が3、4冊入っていた。
「僕はしばらくそこにいるんで、用事が終わったら来て下さい。」
「?わかった。」
乱立していた木に終わりが見えて、大きい平屋の建物が視界に入る。
もう少し進むと分かったが、それが図書館だった。
村は円の形をしており中央に図書館、
そしてそれを囲う様に民家が建っている。
建物はどれも同じ造りだった。焦げ茶の木材で造られた平屋。
そして人一人外にいない。
ルアー曰く
「基本家事や食料調達、地下で勉強をしているんですよ。」
らしい。
少し離れた所に川があるので、そこに水を汲みに行くらしい。
水を引くことはしないようだ。
こういう村は見た事がないので少し新鮮だった。
村の周りをぐるりと見て、別れようと思った時に足音がした。
振り返ったルアーの顔が青ざめる。あ…ぁと小さな声を漏らした。
その先には一人の女性が立っていた。
こちらに気がついたようで走って近づいてくる。
「ルアー!!!」
名前を呼んだかと思うと次の瞬間、
乾いた音が響いた。
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