04
(tsunayoshi side)
 やばい、やらかした。
 これが俺の率直な心情だ。初心者であり、正式入部をしていない俺は和成とわかれ、一年生が集まる場所へと足を運んだ。ざっと30人弱くらいはいるだろうか、なかなかの人数だ。前には先輩らしき人物とスーツをきた男性がいて、その二人は主将と監督だと名乗った。そして声高らかに言ったのだ。今から入部に伴いクラス分けのテストをする、と。まぁ、ココは強豪校だし、部員の人数も多い。入部早々テストがあってもおかしくはないだろう、と踏んでいた。まずは体力テストだと言われ、指示通り走り込みや反復横跳びなど、内容的に難しくないが倒れる人が出るほどのきついテストが行われた。そして、軽く休憩をはさみ技術テスト。ドリブルやパス、シュートを一通り行った。ドリブルはおぼつかず、シュートはかろうじて入る程度が俺のレベルだ。自分でもこのくらいできれば上々だと思う。テストの結果はただの初心者部員になるはず。だが、周りの様子を見渡して、血の気が引いた。そこでやっと気づいたのだ、自分の体力が人並み外れていたことを。
テストが終わったころで、立っていられたのは俺含め片手で数えられる程度だった。

「君、体力あるねぇ。」
「え、えっと、ランニングが、趣味でして・・・」
「へぇ。見ていた限り、バスケの経験はそこまでないようだね。」
「体育とか、友達とやる程度で・・・初心者です。」

 俺自身でも思う。身長もなく筋肉もついてなさそうないかにも弱そうな奴にこの体力の有り様ははおかしくないかと。しかも初心者。息は乱れているがふらつくことなく立っている俺をみた監督が声をかけてくる程度にはおかしな存在だ。監督は俺が初心者だと知り、上から下まで眺めてからふむ・・・とうなりながら去って行った。テストを見ていた主将や何人かの部員は俺のことをいぶかしげな目でみている。おかしいよな、俺みたいな運動出来なさそうなやつが倒れることなくテストを終えてるの。内心冷や汗を大量にかきながら二回目の休憩を言い渡されたので体育館の隅のほうに腰を下ろした。

「綱吉お疲れ!さすがのチートっぷり!」
「うるさいな・・・!」
 
 同じタイミングで休憩になったらしい和成が笑いをこらえながらこちらに駆け寄ってきた。どうせ忘れてたんだろー、と小馬鹿にして笑いをこらえられていない目が何ともムカつく。
 運動音痴でろくにスポーツもできなかった俺は、リボーンにみっちりねっちょりと鍛えられた。それはもう、500回くらい命失くす勢いで。目指していたのはマフィアの戦闘、それこそ命がけだ。そして実際に命の危険にさらされる戦闘をしているのだ。おかげで俺の運動音痴は解消され、人並み程度に運動ができるようになった。ただ、目指すものが悪かったのか鍛え方がベリーハードだったのが悪いのか・・・人並み外れたものを手に入れてしまった感は否めない。例えば、体力や反射神経。体力がなくなるのは戦闘中命を落とすのと同義であり徹底的にしごかれた。反射神経は不可抗力だ。毎回銃を連射されれば嫌でも身につく。
 俺はマフィアと関わりないところではそこら辺の一高校生、つまり普通であるという思いが強い。ゆえに忘れていたのだ、人並み外れた自分の能力を。

「俺初心者なのに完全に悪目立ちしてるじゃん・・・!」
「お前、いうほどバスケできないわけでもなくね?俺も何度か教えて結構やってっし。」
「いやいや何言っているの和成。」

 正式に部活でやっているのとストリートでちょこっとやってたのでは大違いだろ、と反論する前に召集がかかる。どうやら休憩終了らしい。きっと結果が言い渡され、一軍二軍を言い渡されるのだろう。一軍はスタメン含め20人程度の集まりだ。そのほかは二軍で人数は30人程度。入部時のクラス分けテストでいきなり一軍入りするのは中学の強豪校でスタメンはれるくらいでないと無理だろう。いくら体力があるって言ってもバスケのレベルが初心者で一軍入りできるほどこの世界は甘くない。

 この後、結果を言われて俺は初心者らしく二軍に入るのだが・・・この目立ち方は監督に大きな期待を持たせてしまったらしい。2週間後にはとんでもない提案をされることを俺はまだ知らかった。






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