氷炎、湖面に浮く。 | ナノ


「○○くん、一緒にご飯食べまひょ」

「○○、一緒に飯なんてどうじゃ?」

アラくんとコージくんが同時にそう言ったと思えば、二人はキッと睨み合った。あれ、なんだろうこの状況。
いつもは、アラくんと二人で食べているのだが、今日は何故かミヤギくんたちと食べているはずのコージくんも、私と一緒に食べたいと言い出したのだ。何かあったのだろうか。

「コージはんはいつものようにミヤギはんたちと食べりゃええでしょ」

「別にわしが誰と食べようと勝手じゃろうが」

「チッ…どこまででくのぼうなんどすかあんさんは…○○くん、こんな奴のおらんとこで二人で!食べまひょ」

「のおー○○、たまにはこんな根暗なんかじゃなくて別の人と食いたいと思わんか?」

「誰が根暗どすかっ第一それはあんさんやなくてもええでっしゃろ」

「よくわからないんだけど…三人で食べたらいいんじゃないの?」

私がそう言うと、二人はそれじゃダメだ、と声を上げた。何がダメなんだ。本当に意味がわからない。

「○○くんが選んでおくれやす!どっちとお昼食べたいか!」

「え、あの…」

「○○は優しいけんのお、そんなん選べるわけないじゃろ。ほんっとぬしゃあは人の気持ちを考えん奴じゃな」

「え、えっと」

「フン、そない言うて、○○くんに選ばれへんのが怖いだけなんちゃう?コージはんはそないな臆病者やったんどすなあ」

「……」

「なんじゃと…さっきから黙って聞いとりゃあ散々好き勝手言うてくれんのおアラシヤマ…」

「なんややりますの?あんさんなんか一瞬で黒焦げにしてやりますさかい、どっからでも」

「もう!二人とも喧嘩ばっかりして!もういい!僕ミヤギくんたちのとこにいく!」

口論からリアルファイトになりそうな二人に、声を荒らげてそう叫ぶと、二人はぎょっとした顔でこちらを振り向いた。私はそんな二人を置いてミヤギくんたちの食べてる机に向かう。トットリくんの横に断りを入れ座りトレーを置くとため息を一つ吐いた。

「まぁ、なんだべ…○○も大変だな」

「どうしてこんなことで喧嘩しちゃうんだろ…ほんと意味わかんない」

「あげな状況で気づかん○○くんも十分すごいっちゃねー」

「え…なにが?」

トットリくんの言葉に純粋な気持ちをぶつけたが、トットリくんはミヤギくんと目を合わせ小さく苦笑いを零すだけだった。
私は未だに睨み合ってる二人を一瞥しながら、食事を始めた。


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