これの続き

純白の綺麗なドレスを着飾した女性。黒いタキシードをビシッと着た男性。
テレビの画面の向こうではブライダル特集がやっている。

『ブライダル、ね。結婚かあ…』

そういうのを気にする年頃になったせいもあるが、最近ブライダルやウエディングの話をよく耳にするようになった。
高校時代親しくしていた友達も、去年結婚したし。

…まあ、私自身、周助とは、その。…結婚とかしたいなあ、とか。
考えてたりはするけど!
でも、周助はどう考えてるのかな…。付き合って3年、同棲して1年。もう、そういうことを考えてもいいとは思うのだけれど。
うーんうーん、と唸りながら考えていると、トントンと肩を叩かれた。

「名前? どうしたの? 唸ったりして」
『うひゃああああああ!』

気配すらしなかったから、思わず奇声を上げて後を見る。コテンと頭を傾けて私を見つめる彼はとても可愛い…じゃなくて。

『え!? あ、いや。な、なんでもない!』
「そう?…あ、今ブライダル特集やってるんだ」

私から視線をはずし、彼の目はテレビの画面を捉える。
…これは絶対その話の流れになりますよね。

「何、名前、気になるの? ブライダルとか」
『き、気になるよ! だってウエディングドレスとか、女の子の夢だし…。…着てみたいじゃん』
「ふーん」

…ふーん、ってなんだ。
いや、別にここで期待していたわけじゃないけど。もう少し反応して欲しいなあ、とか思ってないけど…!

「名前は着たいんだ」
『そう、だけど』

クスクスと私を見て笑う彼が何だかムカつく。
本当、さっきからなんなの。

『ちょっと、周助。さっきから笑ったりしてなんな…』
「ねえ、じゃあさ」

すると、いつのまにか私の目の前に現れた彼は、優しく、壊れ物を扱うように私の左手を手に取ると、チュ、と音を立てて薬指にキスをした。

『は、』
「一年、あと一年経つまでここは僕のためにとっておいてね」

そう言うと、すくっと潔く立ち、「さあ、夜ご飯食べようか」と食卓へ座ってしまった。
え、え? と状況のつかめない私は焦るばかり。

『しゅ、周助? 今のはどういう…』

呆然と見つめると彼は、「内緒」、と綺麗に笑った。

頬をなでる
優しいことば


title by 確かに恋だった様

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