小ネタ(銀+近/近妙前提)
2013/09/18 23:47

今日は天気がいい。
少し暑いと思う位の陽光が地上を照らしている。
近藤が河原に目を移すと、見覚えのある白髪頭の男が悠然と土手に寝そべっていた。
予定も金もないのだろうその男の姿は、これまでも見回り中に幾度も見かけている。
なんとなく近づくと、銀時はすぐに近藤の気配に気づき、ふと顔を向けた。
「よお、相変わらず今日も暇そうだな」
「…ほっとけゴリラ」
いつも通りのぞんざいな物言いで返し、銀時は近藤から視線を外した。
会えばそれなりに言葉を交わすが、長話はしない。
しかし近藤は、不意に銀時の隣に腰を下ろした。
銀時が怪訝な視線を送るが、当の近藤は銀時には一瞥もくれず、まっすぐと正面を見据える。
「明日、来てくれるんだろう」
確認するように銀時に訊ねる。
端的すぎる言葉だったが、銀時はすぐにその言葉の意図がわかった。
「しょうがねえから行ってやるよ。ゴリラ同士の結婚なんて、そうそう拝められるもんじゃねえからな。ただしちゃんとご馳走食わせろよ、バナナだったらぶっ殺すぞ」
「はははっ!」
河原に豪快な笑い声が響く。
「万事屋。この河原でお妙さんをかけて決闘したこと、覚えてるか」
何年前のことだったかと、懐かしむように近藤は言う。
「…忘れた」
立ち去る様子のない近藤に少し煩わしさを感じながらも、銀時は短く答えた。
本当は覚えているが、あえて頷きはしなかった。
できるだけ面倒なことは避けたい。
何が言いたいのか知らないが、“妙”という言葉が出てきたならたぶんのろけ話だろう。
こんな所でそんな話を聞かされるのは勘弁したい。
しかし、次に近藤が発した言葉は予想外のものだった。
「また、勝負するか?」
「……は?」
一瞬言葉に詰まる。
意味がわからなかった。
冗談にしてもおもしろくない。
「なに言ってやがる。理由がねぇよ。それにあん時と違って賭けるもんもねぇし」
ため息交じりに銀時が答えると、近藤は穏やかな口調でこう言った。
「本当にないか?」
意味ありげな問いかけに、銀時はわずかに不快感を募らせた。
「ねぇよ」
「あとから文句言われても渡せないからな。今のうちに決着つけとこうと思って」
「何の」
「俺は動いた、お前は動かなかった」
「何が言いてえんだテメェ」
「ここまで言っても、まだわからないか」
「………」
「ふっ、本当に自覚がねえのか、それともしらばっくれてるのか」
そこまで言うと、近藤は不意に立ち上がる。
「さあ、構えろ」
そしてまるで挑発するように刀を抜いた。
無駄な労力を使うのはごめんだと思っていたが、気が付くと銀時は立ち上がっていた。
どうしてかやたらと苛立つ。
理由は未だにわからないが。



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