「ニア!」


リノはニアの居る部屋のドアを勢いよく開けた。
ニアはそれに特に驚く様子はなく、読んでいた本を静かに閉じて、「はい。」と答えた。


「遊びにきちゃいました!」
「……ずっと、思ってたんですが」


リノは大きな瞳にじっと見つめられて、首をかしげた。


「私といて、楽しいですか?」


今度はその視線を下に落として言った。
ニアの表情にあまり変化は見られなかったが、その声は少し自嘲ぎみに聞こえた。


「楽しいからいつも来てるんだよ?」

そう言ってもニアはまだ納得がいかないようで、目を合わせない。

「ニアは色んなこといっぱい知ってるし、それに…」
「…それに?」
「ニアと一緒にいるの好きだからね!」

ニアは目を見開いて、リノを見詰める。

「そう、ですか。…ありがとうございます。」



リノは満足げに笑うと、今度は思い出したかのようにため息をついた。


「どうしたんです?」
「ちょっと悩み事…っていうか……」
「私でよければ聞きますよ。」


そんな大したことでもないんだけどね、と
リノは笑って話を続けた。


「はやく大人になりたいなって…ニアはそう思ったことある?」
「あまり…いや、無いですね。」
「そっか…。私は今より知識が増えてるといいなっていう願望もあるけど、一番は…体のことでさー。」
「体?」
「今、胸も大きくないし、なんていうか大人の女の人みたいになりたいの。」


ニアは呆れるとも驚くとも何ともいえない顔をした。
それにリノは気づいて、慌てて謝る。

「あ…ごめん変なこと言って!えっと、部屋もどるね!」

いたたまれなくて、逃げるように部屋を出ようとすると、ニアに腕を引っ張られてしまった。


「大人に…なりたいですか?」


ニアの力が思ったより強くて、急にニアが男の子だと認識させられた。


「ど、どういうこと…?」
「流石に年齢や外見を変えることなんて出来ませんが…大人に近づくことは出来ますよ?」

何が言いたいのかわからなくて、きょとんとしていると、ニアの顔が近づいて唇を封じられた。


「んんっ…!?」


「口開けて、舌を出してみて下さい。」

何一つ理解していないのに、淡々と指示をされて、それに従うほかなかった。

「ん、……っふぁ…」 

熱い舌が、口のなかでゆっくりと絡み合う。
リノはキスの経験がなく、ニアもそのはずだが、そう考えられないほど気持ちのいいキスだった。

これだけで、何故か全身がぞわぞわとしてくる。

「ん…っ……に、あっ…」

ニアの顔も赤みがさしていた。


「ちょっと失礼しますよ。」


ニアはリノを抱きかかえて、ベッドに下ろした。

「え、ニアなにするの…?」
「リノも知ってるでしょう?」

スカートの中にニアの手が入り、太ももからそこへと指が触れる。

「んっ……」
「こういうことです。」

そのまま指をゆっくりと敏感な部分で動かされる。
擦れる度、じんわりと快感がのぼった。


「はっ……ん、っ……ぅ」
「どう、ですか?」

快感に耐えているリノの様子を、ニアは笑みを浮かべてみている。

「わかんな…ぁ、…ぞくぞくして…っ」
「ここ、自分で触ったことないんですか?」
「ない…、…っ」

知識は何となくあったリノだったが、性にそこまで関心がなく、自分でしたことはまだなかった。

つまり、これが全ての“初めて”である。

完全に純粋なリノを自分の手で汚す背徳感で、齢十二にしてニアは興奮を覚えた。

ニアはブラウスのボタンを外し、リノ
の体を露にした。
リノは恥ずかしそうに手で体を隠す。

「隠しちゃダメです。」
「いじわるだ…」

意地悪でもなんでも、とニアは呟いて、
リノの手をどけて体にキスを落とす。

「ニア、どこで覚えてくるの…っそういうの…」
「さて、何処でしょうね?十二歳なんてそんなもんだったりしますよ、多分。」
「私は知らない…」
「…まぁ、悪いことではないと思いますけどね。」

リノは、なんとなく子供だと馬鹿にされた気がして、頬を膨らませる。

「大丈夫ですよ、私が教えてあげますから。」
「え、わっ!ひぁ…っだめ…っ」

下着も丁寧に外され、ニアはその突起を口に含んだ。

「あっ、ぁあ……っ!」


感じたことのない感覚に、図らずも声が出る。
快感に耐えるあまり、ニアの服をぎゅっと掴んでいた。

舌で転がされる度にビクビクと体が跳ねる。
そんな自分が恥ずかしくて、でも気持ちよくて、わけがわからなくなっていた。


そんなリノに、更なる試練。


「リノ。」

ニアに名前を呼ばれて、目を開けた瞬間、言いようもない感覚に襲われた。

決して気持ちよくはない、不思議な感覚。

「に、ニア…?な、なにして…」
「指を一本入れたのですが…流石にきつそうですね。」

状況を知って、顔が赤くなる。

「やっ…ぁ…なんか、へん…」
「最初ですから、仕方ないです。しかし…すごく濡れてますね。」

ニアはわざとリノの液を指につけて伸ばしてみせた。

「ばッ!…ばかぁ…っ」


再び指をさしこまれ、ぐちゅっと音が響く。

「少しほぐれてきましたね…まだ変ですか?」
「な、んか…………あっ!んぁっ…そ、こっ……きもちいっ……!」


そこを上に押し上げられると、途端に電気が走ったみたいに快感が伝わった。

「ここ……ですか?」

同じところにもう一度、重点的に刺激を与えられる。

「っはぁぁっ…あ、ぁんっ」

さっきまでの変な感覚は消えて、気持ちよさだけが残った。

「きもちぃ……っ」


可愛らしい声をあげるリノを見て、ニアは口元を緩めた。
しかし、ふとその笑顔は消えた。


「すみません、リノ。」
「ニ、ア……?」
「自分の手であなたを汚すことに、正直高揚してます…が同時に申し訳なくもおもっています。」

ニアは切なげな表情を浮かべた。

「そんなこと、ないよ…嫌だなんて思ってないから、その…」




「……」



「…むしろ、もっと…してほしい、よ…。」


恐る恐る、ニアの顔を見上げる。



「…あんまり可愛いことを言うと…我慢できなくなります。」

ニアは手の甲で口元を隠し、耳まで真っ赤になっていた。


「凄く、リノと一つに…なりたいです。」

「い、いよ……」


リノのスカートと下着を脱がし、自分も服を脱ぎ捨てた。



「ん…っ……」

「力、抜けますか…?」


指とは違う、太くて熱いものがゆっくりと侵入する。

「っは…ぁ…ちょっと…いたい、かも…っ」

「ゆっくり、慣れれば良いですよ…少しこのままにしましょうか。」


呼吸を整え、痛みに耐える。
ニアが、痛みが紛れるようにと優しくキスをした。


「怖く…ないですか?」

「ちょっとだけ。…でもニアがいるから、へーきだよ!」


にこっと笑って見せるリノ。


…なんて愛しいのだろう。


溢れる気持ちを抑えられず、また、キスをする。


「ニア…も、動いていいよ…」

「痛くないんですか?」

「慣れてきた……っ」


壊れ物を扱うように、丁寧にゆっくりと動く。

「ん……っ…ぁ…」

リノのナカは柔らかくて温かくて、ニアはすぐにでも果ててしまいそうになっていた。

「っは…ぁ、リノ…っ」
「ニア…きもち…いい?」
「えぇ、すごく…」


いつしかリノの矯声も激しくなってきて、気持ちよくなっているんだとわかる。

しかしニアの予想より声が大きくて、他の人にも聞こえてしまうのではないかと内心ひやりとした。


「っあ…ん……っな、なんか…きちゃ…ぅッ…ニア…ぁッ」

「私、も…ッいきそう…です…っ」



「ふあっ…ッあっ…はぁっん…ッ!」


リノと同時にニアも果てる。

熱い白濁した液体が、リノの腹の上にかかった。



まだ快感が残っていて、頭がぼんやりとする。

「リノ、大丈夫ですか…?」
「う…ん、…」

心地の良い倦怠感がリノを襲う。
今まで、こんなに気持ちのいいことがあるとは知らなかった。


「……きもちよかった…」


ニアはぼーっとしているリノに、軽くキスをしてから、自分の放ったそれを丁寧に拭き取り、リノに服を着せた。

「リノ、部屋に戻れますか?」

「む、むりかも…ねむ…い……」

「あ、リノ……」


…寝てしまった。


誰かに聞かれたら勉強を教えていたらそのまま寝てしまったとでも答えよう。

ニアがふとドアを見やると、微かに開いていた。


「…。」


ドアを閉めて、リノの隣に寝転ぶ。


「おやすみなさい、リノ。」
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