生放送!






可恋「ありがとうございましたー!」

  「可恋ちゃん、板についてきたんじゃない?」

可恋「本当ですか!?ありがとうございます!」

   ここは寿弁当。

   はい、そのとおり。←

   嶺二の家族が経営しているお弁当屋さんですね。

   私はここでバイトをしています。

   本当はバイトを雇うようなお店じゃなかったんだけど…

   (雇ったら雇ったで女の子殺到だし)

   嶺二が絶対この店にして!って言うから…ここでバイトです。

   たまに、嶺二がお手伝い来てくれるから嬉しいけどね。


           ガラッ



可恋「いらっしゃいま…嶺二!?」

嶺二「可恋!お手伝い来たよー!」

   手をひらひらと振りながらやってくる嶺二。

   お手伝いって…まだ13時だよ?

   いつも夜遅くまで仕事してるのに…。

嶺二「あ、今『仕事は?』って思ったでしょー!」

可恋「え、まあ…うん」

嶺二「ふっふーん、これも仕事なのだ!じゃーん、見てこれ!」

   そう言って嶺二が取り出したのは―ビデオカメラ。

   えーと…たまに番組とかで芸能人の私生活を撮ったりしてるよね…。

   で、自分の家族や家の中を撮って…ん?

可恋「嫌ーー!!!撮らないでーーーー!!!!」

嶺二「(無視)はいはーい、嶺二です!

   今日は僕の家が経営してる寿弁当にやってきましたよ!

   早速手で顔を隠している店員さんがいますねぇ!

   あの子、可愛いでしょ?

   実は僕の彼女」

   おおおおぉおぉおいぃいぃ!!!!←

   店員さん紹介はいいけど!!!まだいいけど!!!

   後半、何さらっと発言しちゃってんの!?

嶺二「あ、大丈夫。事務所から了承もらったから」

可恋「そーゆー問題じゃなくてーー!!」

嶺二「何?可恋は僕の彼女って公表されるのが嫌なの?」

可恋「そーゆー問題でもなくて!!

   人気とか下がったらどうすんの!?

   アイドルはみんなの恋人でしょ?」

嶺二「そうだけどさ…。

   だって、自慢の彼女紹介したかったんだもん……」

   しょんぼりする嶺二。

   可愛い……のはともかく。

   そこまで落ち込まれると…まるで私悪い人みたい。

可恋「…まぁ、いいよ。嶺二の彼女ってことは本当だもんね?」

嶺二「うんっ!可恋は僕の自慢の彼女ーーー♪」

   そう言って抱きつかれる。

可恋「嶺二…嬉しいけど、カメラ大丈夫?」

嶺二「あ、そうだった!

   みんなー、とりあえずここで一旦CMね?

   いやぁ、生放送で彼女紹介なんてびっくりしたと思うけど、

   可恋とっちゃダメだからねー!」

   ちょっと待て。

可恋「生放送?」

嶺二「え?うん」

   真顔でそう言う嶺二。

   えーと……てことは、私の名前なり顔なりが……

可恋「全国放送されちゃったってことぉーーー!?」

嶺二「まぁまぁ!いいじゃん、可恋可愛いんだし!」

可恋「ふざけんな」

   一発げんこつをくらわせる。
 



   そのあと、寿弁当は大繁盛となった。






おまけ

嶺二「可恋ー!お手伝いに来たよー!!」

可恋「却下。断る」

嶺二「えぇえっ!?折角仕事早めに切り上げたのに!」

可恋「だから?家でくつろいでな」

嶺二「可恋冷たいーーー!!!」

可恋「当たり前だ!」





[*前] | [次#]