My Little Little Girl








トキ「…可恋、大丈夫ですか?」

可恋「えっ、何が?」

トキ「私の歩く速度です。もう少し遅くしますよ?」

可恋「んーん、大丈夫っ」

   そう言って微笑みかける君は、とても小さくて。

   たった一歩分だけで、こんなに違うと

   ふいに愛しくなる―――。

トキ「……やっぱり、手を繋ぎましょう」

可恋「えっ?」

トキ「可恋は小さいですからね」

可恋「ちょっと、どう言う意味なのそれっ!」

トキ「そのままの意味ですよ…くすっ」

可恋「もうっ!…あははっ」

   そう言って笑いながら手を繋ぐ。

   知ってますか?

   私のこの笑顔は、

   貴方以外見せたことがないんですよ―――。




可恋「弱い自分許せたら、それは強さの始まり」

トキ「…え?」

   ふいに、君がおどけて云う。

可恋「トキヤは今、許せてる?」

   真剣な表情で、小さな貴方は見上げそう言った。

トキ「…さぁ」

   はぐらかすように目を逸らしたけれど、

   本当は分かってた。

   心を見透かされていること―。

   だけど、それも嫌じゃない。

可恋「…あっ、影踏みしようよ!」

   話題を代えるように、君は微笑みながら私の影を踏んだ。

トキ「…子供ですか?」

可恋「ぶー、いいじゃんたまにはっ。やろうよ?」

トキ「まぁ、いいですが。小さい子供と遊んでるようで楽しそうですし」

可恋「さっきからトキヤ小さい小さい言い過ぎっ!」

トキ「だって、小さいですから」

   そう言うと更に怒り出す貴方。

   そんな風に怒るのも、愛しくて――。


可恋「…わっ」

   気付いたら、身体が勝手に貴方を捕まえていた。

可恋「ト…トキヤ?どうしたの?」

トキ「…どうもしてませんよ」

   小さい貴方を抱きしめるのは少し屈まなければいけないが、

   言葉で飾るより 想い伝えたくて

可恋「…へへっ、"ありがとう"」

トキ「…………」

   何も言わず、ただ抱きしめた。

   100年先も、私のこの想いは貴方だけです。

   私だけの、小さい 小さい 貴方―。

   オレンジ色の日々を、暮れなずむの止めて

   描き続けましょう。

   "君"と言う夢を――――――……………。








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