暑い





可恋「暑い〜〜〜〜……………」

   今日は藍ちゃんの仕事場にお邪魔してます。

   でも、楽屋のクーラーが故障して……

   こんな狭い(いや、広いけど)部屋に人が入ると、

   暑い。サウナ状態。蒸されてる感じ、ってゆーの?

   とにかく暑苦しいんです。

藍 「明日になったら直るから、今日は我慢してよ」

可恋「我慢できたら暑いなんて言わないよぉ…」

藍 「……じゃあ、帰れば?」

可恋「それは嫌っ!!折角滅多に見れない仕事を見れるのに!」

藍 「言うと思った」

   そう言うと藍ちゃんは少し口角を上げる。

   だって…かっこいい藍ちゃんが見れるのに

   帰るなんてできないしっ!

可恋「あー…服が汗で濡れていくー…」

   そう言いながら服をパタパタさせる。

藍 「あ。暑いなら脱げば?」

可恋「…は?」

   無表情で『脱げば?』とさらっと言う藍ちゃん。

   脱げばって…私もう上着脱いだし。

   これ以上どう脱げと?

   そう思い眉を寄せ悩む私。

藍 「可恋の裸なら何回も見てるし。別にいいよ」

可恋「いや、あの…はい?」

   そう言う藍ちゃんの手は、

   ちゃっかり私のシャツを握っている。

可恋「藍ちゃん、バグってない?大丈夫??」

藍 「バグってたら倒れてる」

可恋「あ、それもそうか…じゃなくて!!何で脱がんといけないの!」

藍 「暑いんでしょ?」

可恋「そうだけどっ!レディはそう簡単に脱がないもんよ!」

藍 「そう」

   納得したのか、一言そう言う藍ちゃん。

   でも、手はまだシャツにかかったまま。

   あの…手の体温が暑いのですが……。

藍 「じゃあ、僕が脱がせてあげる」

可恋「……は?」

藍 「可恋は脱がないんでしょ?だったら僕が脱がすよ」

可恋「いや、だから、そういう話じゃなくてさーーー!!!!」

   するすると動く藍ちゃんの手。







   次の日から、私は暑くても「暑い」と言わなくなりました、とさ。







   



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