自販機を見つけるまでに20分はかかったはずだ。それなのにコートからそんなに進んでいないってどういう事なの…

乱れた息を整えながら自販機へ向かう

「お前さ、生意気なんだよね。小学生のくせに。」

なんか自販機の前に何人か男の子が集まってるっぽい。
中学生くらい?邪魔だ…

しかし、早く行かなければ謙也の試合が始まってしまう。
何よりかわいいたか君がお茶を待っている。もしかしたら、喉が渇いて泣いているかもしれない。(そんな事今まで1度もないが)

「あの、すいません」

声をかけると男の子達が全員こちらを振り返り少しびっくりしたが、ちらっと中央に見えた男の子の姿に目を見張った。

酷く泥だらけの服。背負っているのはテニスバッグだろうか。
俯き気味の顔にも何箇所か傷が見える。

「何?俺ら今忙しいんだけどー」

こちらを振り返った中学生がへらへらと応えるが、それを無視して大声を出す。
「きゃああ!!誰か助けてー!!!」
警察!警察!と裏声で叫ぶわたしを中学生はぽかんと見ていたがすぐに逃げて行った。

「大丈夫?少年」

中学生達の様にわたしを見つめて固まる男の子に苦笑しつつ声をかける。
声を出しすぎたからかまた裏声がでてしまった。不覚。
服の汚れを払うとおおきに、と顔を赤くし呟いた。
かわいい…
にやにやしそうになる顔をなんとか抑え傷の手当てを始める。
男の子はびっくりしていたようだが大人しく手当てを受けてくれた。

「よし、できたよー!」

傷自体は擦り傷などが多かったため手当てといっても絆創膏を貼るくらい

「あの、おおきに。俺、白石蔵ノ介言います。」
「わたし夏目葉月、白石君は試合しに来たの?もう始まっちゃってるよ!」
「あ、せや。試合!」

遅れてまう!と駆けていく白石君を見送る。

たか君のお茶と自分用のミルクティーを買ってコートに着いたのは謙也の試合が丁度終わった時だった。
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