月面便り





ロゴスがザフトに討たれた後、AAは月・コペルニクスにやって来ていた。
これから議長との戦いが始まる。情報の入手が一番の目的だ。
その一方で、息抜きをする者達もいる。なんせずっと船に缶詰状態なのだから、たまには羽を伸ばしたいだろう。
というわけで、ラクスはキラ、アスラン、メイリンをお供に、街へと繰り出していった。
そして、ミリアリアも。

「……本当に良いんですか? 艦長」
「良いの良いの。あなただって、外に出たいでしょ?」
「でも……」

マリューから外出を許可されたミリアリアだったが、内心、複雑な思いがあった。
久々に遊び歩きたいが、今自分までAAを離れたら、ブリッジは大変ではないだろうか。

「大丈夫よ」

渋るミリアリアを見て、彼女の心配事を察したマリューは、励ますように肩を叩く。

「どうせ大した仕事もないし、羽でも伸ばしてきなさい」
「……ありがとうございます」

ここまで言われては、残ると意地を張るわけにもいかない。ミリアリアは、マリューの好意に甘えることにした。
ところが、瞬時にマリューの顔が曇る。

「ああ、でも一人で外出はまずいわね……誰かと一緒に……」
「まずい?」
「ほら……今、ザフト艦が一隻停泊してるから」
「あ」

大切な情報を忘れていた。AAが着艦したと時を同じく、別のドックに、ザフトの戦闘艦も停泊しているとの一報が入ったのである。
AAはオーブ船籍。ザフトとオーブは今、緊張関係にあるとはいえ、敵対しているわけではない。こちらの存在が知られたといって、どうこうなる問題ではないが――

「誰かって……言われても」

ミリアリアは困ってしまった。
同じ年頃の四人は、さっさと遊びに行ってしまったし、あと連れ歩ける人物となると……誰がいる?
腕を組み、一緒に歩けそうな人物を探していると――

「じゃ、俺、一緒に行こうか??」

後ろから、チャンドラが名乗りを上げた。

*前次#
戻る0