1 月面便り ロゴスがザフトに討たれた後、AAは月・コペルニクスにやって来ていた。 これから議長との戦いが始まる。情報の入手が一番の目的だ。 その一方で、息抜きをする者達もいる。なんせずっと船に缶詰状態なのだから、たまには羽を伸ばしたいだろう。 というわけで、ラクスはキラ、アスラン、メイリンをお供に、街へと繰り出していった。 そして、ミリアリアも。 「……本当に良いんですか? 艦長」 「良いの良いの。あなただって、外に出たいでしょ?」 「でも……」 マリューから外出を許可されたミリアリアだったが、内心、複雑な思いがあった。 久々に遊び歩きたいが、今自分までAAを離れたら、ブリッジは大変ではないだろうか。 「大丈夫よ」 渋るミリアリアを見て、彼女の心配事を察したマリューは、励ますように肩を叩く。 「どうせ大した仕事もないし、羽でも伸ばしてきなさい」 「……ありがとうございます」 ここまで言われては、残ると意地を張るわけにもいかない。ミリアリアは、マリューの好意に甘えることにした。 ところが、瞬時にマリューの顔が曇る。 「ああ、でも一人で外出はまずいわね……誰かと一緒に……」 「まずい?」 「ほら……今、ザフト艦が一隻停泊してるから」 「あ」 大切な情報を忘れていた。AAが着艦したと時を同じく、別のドックに、ザフトの戦闘艦も停泊しているとの一報が入ったのである。 AAはオーブ船籍。ザフトとオーブは今、緊張関係にあるとはいえ、敵対しているわけではない。こちらの存在が知られたといって、どうこうなる問題ではないが―― 「誰かって……言われても」 ミリアリアは困ってしまった。 同じ年頃の四人は、さっさと遊びに行ってしまったし、あと連れ歩ける人物となると……誰がいる? 腕を組み、一緒に歩けそうな人物を探していると―― 「じゃ、俺、一緒に行こうか??」 後ろから、チャンドラが名乗りを上げた。 |