船上デート


「何で私までクルーザー乗んなきゃなんないのよおぉ!!」
「まー、いーじゃんか、細かいことは」
「細かくなーい!!」

『島』から連れ出されたミリアリアは、高速クルーザーに乗せられていた。

彼に手を引かれて。
彼が『島』まで乗ってきたクルーザーに。
時間が無いため、運転手・ディアッカは、恐ろしいほどのスピードを出していた。

行き先はオーブ。
さすがに彼女を、カーペンタリアまでは連れて行けないだろう。

「良かったよ、泣き止んでくれて」
「うるさい」

彼女の顔は、一生の不覚と言わんばかりのふくれっ面だ。
でもなぜか、ちょっとだけ楽しい。

「また会えるかな、俺たち」
「……会えるんじゃない?」

離れる間際に交わされた、希望の含まれる言葉。
それは二人が再び会える証――


from〜船上デート〜
結びに一言
6/30UP
キリリク[新しい恋]用に書いたチョ短編[そして奇跡は訪れる]の没ネタを復活。
書く直前まで、本編で直接描写しなかった船の上の話とどっちにしようか迷って迷って……こっちの方が深みが出るかなーと思って、[奇跡〜]を採用しました。

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