赤は好きだ、青は嫌いだ。それは単に自分の主とそのにっくきうざったい好敵手の色だからではなくて、昔からそうだった。自分は青が嫌いだった。ついでに言えば、白も。

「俺様が忍びじゃなくて、あんたがダテマサムネじゃなくて、旦那がサナダユキムラじゃなくて、うんまぁとにかくいま忍びとか武将とかやってるやつらが全部ただのいっぱんじんになっても、多分俺様はあんたが嫌い」
「奇遇じゃねーか猿。I'm with you」

青いのは嫌いだ、青かったり白かったりする物は掌のなかに素直におさまっちゃくれない。
真っ青な鎧で体をかためた尺取虫と対峙中、空を見上げて一人ごと。自分がどんな気分でも相変わらず空は晴れてるし、水はつめたいし、雪は体温で溶けてしまうのだ。ほかのいろのものだったらだいたい全部、両の掌でどうにかする事が出来るのに。



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