「男なのに、ケツの穴拡げられて期待しちゃうなんて」
※鬼畜坂田の器具責め、言葉責め/流血あり





 はーっ、はあっ、


 お互いの荒い息の音しかしない。


 土方は抵抗をやめたし、俺は土方を押さえつけるのをやめない。やめるつもりはない。

 もう服は剥ぎとった。それでもこの男は何かを纏っている気がしてならない。

 内側からめくってやらないと、こいつは素を晒したりしないのだ。


 肛門に指を入れて掻き回すと、こいつは悔しそうに唇を噛む。
 いい気味だ。
 内側が見えるほどに拡げて舌を差し込んでやると、内股がひくっ、と引き攣る。

「なに、かんじてんの?」

 聞いても答えがないのも知ってる。
 そして、言葉はなくとも、身体は応えることも。

「誤魔化してるつもりかよ。こんな勃起させてよ」

 目の前には堅く立ち上がった逸物。抑え切れない体液は、そこからとろとろ溢れ出し、見苦しく股間を汚している。

 それでもこの男は声も上げようとしない。


 どんなに貶めても、辱しめても、この男の真っ直ぐさを折り曲げることができない。


「今日は、さ、ちょっと遊んでやんよ」

 聞いてはくれないに決まっている躯に声を投げかけ、その肌から答えを引き摺り出してやる。
 体内に器具を差し込む。
 顔を見れば唇をきつく噛んでいて、閉じた目蓋に細い血管が浮き出ていた。
 その顔を見ながら、ハンドルを思い切り握った。

「――ッ……!?」
「ははっ、驚いた?」

 目を見開いた土方のビビりようが笑える。

「おキレイな面してるテメーの、ハッズカシイ中身見てやろうと思ってさ。さてご開帳ー」
「ぁ……っ!!」
「おっと、切れちまった? 大丈夫だろ少しぐらい」

クスコで拡げた土方の内側は、いやらしくうねうねと蠢いていた。

「へえ。男のケツん中なんて初めて見たわ。気色わりーなやっぱ」
「……!」
「でも拡げたの俺だもんな。悪ィ悪ィ、責任取ってちゃんと見ててやるよ」

 土方の物を握る。動揺したんだろう、全身がぶるっと震えた。

「期待しちゃってんの?」
「……、」
「やらしい奴。男なのに、ケツの穴拡げられて期待しちゃうなんて」
「……!」
「淫乱。マゾっ気も、あるよな」
「……っ!」
「はっずかしい。俺なら耐えらんねーわ」


 土方の体内が大きくうねる。ライトをつければ、陰影がくっきり浮き出てさらに淫靡だ。

「女みてえ。気持ち悪ィ」

 土方が身じろぐ。

「安心しろよ。気持ち悪ィけど最後までしてやるよ。ほらイけよ」
「……!! ーーっ、ーーーッ!」
「うわー中、すげーコトんなってんぞ。近藤とか沖田に見せてやりてえわ」
「ーー!? ッ、……、ーーーハッ」
「ホント救いようのねえマゾだな。見られるとこ想像してイッちまうなんざ」
「……」
「じゃあ、大好きな近藤さんに見られるトコ考えながらヤられちまおうか。脚開け」


 ぼうっとしてるのは余韻だろう。何か言いたげな顔してるのは、近藤への懺悔か。
 そらそうだ。元攘夷浪士に、性的な暴力を受けてるんだから。


 しかも日常的に。


 すっかり俺の形を覚えた穴は、招き入れるように蠢いている。
 容赦なく俺の分身を沈めた。気持ちよくしてやる気もない。なるはずもない。
 この俺と、セックスを、
 しかも強要されてるんだから。

「ちゃんと締めろよ。緩い」
「……」
「穴がユルユルなんだっつってんの。聞こえた?」

 きゅう、と締め付ける、そこ。
 ほんとは緩くなんかない。キツいくらいだ。
 土方の顔を盗み見ると、一生懸命力を入れてた。
 バカだろ、こいつ。
 いきなり激しく奥を突いた。腰を持ち上げて、挿入部分を土方に見せつけた。

「見ろよ土方、テメーのカラダに男のちんこが、ずっぽり、ハマってんぜ」
「……っ、……ッ」
「鬼の副長はッ、実は肉便器だった、なんてッ、真選組に知られたらッ、ヤバイんじゃねーの、」
「……!! ……、」
「それともッ、夜な夜な咥えてんの」
「! 〜〜〜!!」
「中に出すぞ」
「ッ!?」


 土方の尻穴から、白い粘液が垂れるのを醒めた気持ちで見た。気がつくと土方の腹も、精液で汚れていた。

「なにテメー、ケツん中でイッたの?」
「……っ、」
「ひくわ。信じらんねえ」


「ひいてろ」


 初めて土方が口を利いた。

「帰れよ。用は済んだだろ」

 ノロノロと体を起こし、風呂場へ向かおうとする

「は? 今日は終わっただけだろ」
「なんでもいい。消えろ」

 テメーの面なんざ見たくねえんだよ。


 当然だ。

 それが当たり前だ。


 俺はホテルを出た。あいつはひとりで後処理をして、金払って明け方まで眠るんだろう。

 あれだけ汚しても

 あの男に届いた気がしない。


「もう、やめっかな」


 独り言は夜の空に虚しく跳ね返るばかり。



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