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ワタル@love-goat
 @meemee-yagisan スーザンなうってどういうことだよ

ワタル@love-goat
 @meemee-yagisan お前今アイツといんの?

ワタル@love-goat
 @meemee-yagisan なあ、おい

ワタル@love-goat
 @meemee-yagisan ヤギ

ワタル@love-goat
 @meemee-yagisan なあ、



ワタル@love-goat
 @meemee-yagisan 浮気したらブチ犯すからな



ワタル@love-goat
 ヤギは俺のモンだっつーの

ワタル@love-goat
 スーザンマジぶっ殺すからな













 正直、理一のとこまで歩いたときからずっと思ってたけどあれだ。俺、体力なさすぎる。

「やべえもう無理しぬ……」

 開けても開けても消えてなくならない段ボールの山にうめき声をあげて、とりあえずそこだけ優先して片付けたベッドへ倒れこんだ。ぼふん、と柔らかく受け止めてくれるマットレスに、そのまま眠り込んでしまいたくなる。

「めーちゃんめーちゃーん!」

――しかし、それを許してくれないのがこの男、忍だ。

「めーちゃん、本棚片付いたぞー! めーちゃん結構読書家なのな、分厚い本ばっかでちょい疲れたわー。そんでめーちゃん、次なんかやることあるか?」
「……うぜえ」
「えっなに」
「うぜえひっつくな離れろスーザン」
「なに聞こえない」

 嘘つけぜってぇ聞こえてんだろっ! おんぶお化けよろしく背中にひっついてきたスーザンをべりっと剥がして、がうっと吠えた。
 同室者の正体がまさかのスーザンで喜んでいた数分前の俺へ、正気に戻れといいたい。爽やかな忍モードで挨拶したときはすっかり忘れていたけど、こいつ、中身はただのスーザンだぞ。つまり、常にハイテンションで超絶ウザいやつだぞ。
 三和さんに遭遇した辺りからただでさえゼロに近かった体力が、これでもかというほどマイナス値まで削られていく。ああスーザン恐るべし。

「リアルでスーザンと話すのがこんなにキツいと思わなかったんスけど……」
「ははっ。そう言うめーちゃんはリアルだと可愛さ倍増だなっ!」
「お前喧嘩売ってる?」
「まさか。褒めてる」

 ていうか、爽やかな口調のままいつものノリだから余計疲れるな。コレ。

「忍お前、そのきしょい口調なんとかなんねぇの?」
「うーん……ちょっと、それは無理なんだなぁ」
「は? なんで」

 ネットとリアルじゃ話し方が違うなんていうのはしょっちゅうあることだし、俺だって人のこと言えないけども。「スーザン」をそれなりに長い付き合いで見てきた限りでは、どうにも「忍」の話し方はミスマッチすぎた。
 そんな思いから問い詰めれば、へらりと笑って忍は言った。

「ここじゃ俺、周りに爽やかキャラってことにされてるからさあ。急に変えたら、多分親衛隊とかがうるさくなるだろうし」
「…………そうか解った、お前も崇拝対象か……」
「うん? 崇拝?」

 不思議そうな顔をするスーザンは無視だ、無視。黄銅学園二人目の友達も崇拝対象者かと考えると、ちょっと頭が痛かった。

「――もしかして俺、教室とかでお前に話し掛けたら制裁される?」
「ああ、なんだ。めーちゃんそんな心配してたのか?」

 既に玄関先で抱きついちゃったりしてんだけど、と恐る恐る問い掛ける俺に、けろりと返す忍。

「俺はクラスメイトとかとも仲良いから、話したくらいじゃ制裁なんかされないよ」
「そっか、なら……」
「でも流石に抱きつくとかはアウトだから」

 「良かった」とほっとしかけたところで付け足されて、ギクリと肩を強張らせる。

「だから学校では気をつけてな。さっきの見られてないから大丈夫だろうけど」
「……解った。お前もな」
「ははっ、俺は大事な大事なめーちゃんを危険な目に遭わせるようなヘマはしないさー」
「うん、そういう際どいシャレもやめろな」

 こいつのこれは、この学園育ちなせいなんだろうか。冗談とは解っていても、時々心臓に悪いから止めてほしい。

「そういえばめーちゃん、お前もかって、他にも誰か会ったの?」

 「そういえば、友達第一号はイケメンだってツイートしてたな」と言う忍に、物覚えがいいのか悪いのか、一体どっちなんだと少し呆れた。

「ああ、理一だよ。柏木理一」
「はっ?! 生徒会長!?」
「そう」
「なんで!」
「なんで、って……」

 友達になるのに理由なんか必要なんだろうか。お互いなんとなく気に入ってしまったからとか、多分そんな感じなんだけども。

「ていうかめーちゃん、柏木会長と一緒にいるところ誰かに見られなかった? 友達になったりして、そっちこそ親衛隊とか大丈夫なわけ???」
「誰にも見られてねぇよ。親衛隊についても、人前では話し掛けないって別れ際に約束してくれたし」

 大丈夫だろ、とあしらえば、忍は目に見えて安心したようだった。……なんで、俺よりお前のほうが心配してんだよ。

「あ、そういえばさっき、理一にツイッター始めさせたんだよね」
「…………えっ、まじ?」
「忍もフォローしてみれば?」
「するする! うっわ、柏木会長がツイッターとか、なんかウケんな」

 その後、理一のツイッターアカウントをフォローした忍が、ひらがなオンリーなツイートに大爆笑したのは言うまでもない。

「つかアイコン卵のままだし!」
「今度会ったとき変え方教えちゃろ」
「柏餅にしてやろーぜ」
「あ、いいなそれ…………って、あ」
「うん?」

 いつのまにやら届いていたリプライ通知のメールとその内容に、知らず顔をしかめた。どうした? と画面を覗き込んでこようとする忍に苦笑を返して、俺は短い操作をした。













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「しつこいストーカー野郎は、ブローック!」





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