昔
「貴女の故郷へ、一時帰省してほしいの。」
アリアが突然そう告げた。
アリアは一緒には来れないらしい。
でもアリアがそう言ったから、私はそれに従った。
アリアは見送りに来てくれた。
私は小さくいってきます、と呟いた。
バスに乗ったのは私だけで。
椅子の座り心地が悪かった。
そして、私は田舎に行くことが正直怖かった。
自分がその故郷のことを、殆ど覚えていなかった。
誰かに話しかけられても、普通の対応が出来る気がしなかった。
昔のことで覚えていることなんて、それこそアリアのこと、エルのこと、そして幼馴染みの…
そこで、我に返る。
彼の名前がわからない。
いや、彼というべきかもわからない。
その存在がわからない。わからないことが怖い。
思い出せない。いや、自分に幼馴染みなどいなかった。
いや、そもそも幼馴染みだったのか。
幼馴染みはエルだ。エルももう死んだようなものなのに。
それにアリアだって田舎にも居なかった。あれ？
そもそも自分は田舎にいたのか？
自分の名前は何？自分のなmえすrrrお
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…やめよう。過去のことを思い出すだけで脳が混乱する。胃からさっき食べたばかりのパンが出そうだ。
アリアもわかっているはずだ。
ずっとそこに居たら私の脳がおかしくなる。
…なのにどうして帰省させるのだろう
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