「にゃんにゃんにゃにゃ〜んv」




「にゃーん」
「な、何だよリボーン…」
突然猫の鳴き声を真似てリボーンが足に擦り寄ってきた。
なんだかその仕草が可愛いと思ってしまった自分は一度医者に行った方がいいだろうか…
「ふっふっふ…、どうだ?可愛いだろう、ツナ?撫でたくなるだろう?」
最近、急にリボーンの身長が伸びて来た。とは言えまだまだ俺の腰くらいの高さまでしかないけど、でも赤ん坊だった頃に比べて妙な色気を放つようになってきた。
今もそうだ。黒いスーツに黒い帽子と、服装は赤ん坊の頃と全く変わらないはずなのに、帽子の影から覗くどちらかと言えば綺麗と表現した方が似合うその顔を見ると、なぜだか胸がキュンとした。
そうしてさらに今日はなぜか猫の真似をしてなついてくるものだから、余計に胸がドキドキする。
なんだこれ、やっぱり病気だろうか…
「頭ナデナデしてくれてもいいんだぞ?」
「へ?うわっ!」
すると今度は帽子を脱いで俺の体の上に乗り上げてきた。
「ちょっ!リボーン、なんなんだよいったい!」
そのまま本物の猫のように俺の膝の上で横になる。
「何って、今日は2月22日だろう?」
「…そう、だよ?」
スリスリと俺の太ももに撫でてくれと言わんばかりにリボーンが頭を擦りつけてくる。
その仕草がまた可愛いとか!思うな俺!正気に戻れ!!
ダラダラと何だかよく分からない汗が全身を伝う。
「そうしたらママンが、じゃあにゃんにゃんにゃんの日ねって教えてくれたんだぞ」
「だ、だから猫の真似なんかしてるのかよ…」
「そうだぞ♪」
ご機嫌でリボーンは綱吉の膝の上でゴロゴロと転がった。
「だから早く撫でろ」
「…触っても怒らない?」
「怒んねぇぞ」
ニッと笑ってそう言われれば、実はさっきからウズウズしていた手をリボーンの頭に伸ばす。
と、その時だ。
「ちょっ?え?なに?」
何か、下半身がもそもそする。
まさか、リボーンの可愛い仕草を見てついに変態に目覚めちゃったのか?!俺?!
(う、嘘だろ?!)
サッと血の気が引いた。
そうして恐る恐る自分の下半身を見てみれば…
「なにやってるのかな?リボーン…」
撫でてくれと俺の注意を自分に引き付けておいた隙に、なぜかリボーンの手が俺の股間をまさぐっていた。
もそもその正体これか!!
よかった!俺が変態になった訳じゃなくて!!
「て言うか!触るなって!バカ!!」
慌ててそこを撫でているリボーンの手を引き剥がそうとするが、リボーンは逆に俺の体を押し倒してきた。
さっきまでの猫のような甘えた仕草はどこにも無い。
顔はまだまだ幼いはずなのに、どういう訳か俺より大人に見える。
「ふふん。にゃんにゃんって言葉には、猫だけじゃなくこう言った意味合いもあるんだって聞いたぞ?」
そうして雄臭く笑って俺を上から見下ろしてくる。
「だから楽しいにゃんにゃんにゃんの日にしような?」
「って、しないよ?!て言うか、誰だそんなバカな事を教えたのは?!って、うわああ!脱がすな!触るな!助けてぇええ!!」
俺より何でもできる器用な手が、スルスルとあっという間に俺のズボンをパンツごと奪っていくのを、何とか止めるべく必死に暴れて叫んでみるが、多分無理だ諦めろと、直感が俺に語りかけていた。
「ジャッポーネにはなかなか良い日があるな♪」
ワクワクと人の服を剥ぎ取っていくリボーンに、んなわけあるか!と叫ぶが当然のように無視される。
だが、ここで黙って裸にされる訳にもいかない。
ドタバタと騒ぐ音を聞き付けて、ランボとイーピンが遊んでいると勘違いしてきっと部屋に飛び込んでくるだろう。
リボーンと違ってピュアな二人にこんな姿を見せてなるものか!
何としても死ぬ気でパンツを奪い返してこの危険地帯から脱出するんだ!
「うおおっ!」
「おっ、燃えてるな、ツナ。それでこそ落としがいがあるってもんだぞ」
「落とされてたまるかああ!」
ああ、母さん。どうしてこんな奴に「にゃんにゃんにゃんの日」とか教えちゃったのか。後で理由を教えてください。
おかげで息子がなぜか貞操のピンチです…



「あらあら、今日も二階が賑やかねぇ」
ドタバタと騒がしい音に気づいて二階へ走っていくランボとイーピンを見送りながら、午後の暖かい日差しを浴びてのんびりとお茶を楽しんでいる奈々には、息子の叫びが届く事は無かったと言う…


(終)

---------------------

戻る

-1-


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -