「ネオってちょっと可愛いじゃないか」



「と、言うことで次はネオプリ育成計画だぞ☆」
リボーンがニコッと笑った。それはそれは楽しそうにニコッと笑った。
綱吉はその顔を見て引いた。
「な、なんだよネオプリって…」
何かの飼育でも始めるのかとリボーンに尋ねれば、
「だから、ネオ・ボンゴレT世。略してネオプリだ」
そんな答えが返ってきた。
「略すなよ!なんだその何かのゲームみたいな略し方!」
「可愛くていいじゃねぇか」
クネクネと腰を揺らして楽しそうに話す家庭教師に、やっぱりこいつは天使じゃなくアクマの方が似合ってるんじゃないかと考えを改めそうになる。
「ネオ・ボンゴレ!これからの未来についてますます熱く語り合えそうっすね、10代目!」
すると獄寺がとてもとても熱い視線で綱吉の傍に駆け寄ってくる。
すでに彼の頭の中は新しい未来の組織でいっぱいだ。
「どんな組織になったとしても、俺は10代目の右腕になってみせますから!」
「あ、でもT世ってことは、ツナはもう10代目じゃねぇんだから、その呼び方はまずいんじゃね?」
キラキラと目を輝かせている獄寺の隣で、山本が冷静なツッコミを入れる。
そう言えばそうだ。初代となるのなら、もう10代目とは呼べない。
「あ、ならこの機会に名前で…」
ずっと自分の事を名前ではなく10代目と呼び続けていた獄寺に、これはチャンスなのではないかと綱吉は名前呼びを提案してみようとする。だが、
「はっ!そうですね…では今日から…初代と呼ばせていただきます!」
「それは嫌だ!」
真剣なまなざしで提案してきた獄寺の意見に、綱吉は即座に悲鳴を上げた。
「まぁ、名前なんて何でもいいじゃないですか、ネオプリ」
「その声は?!」
ゾクリと寒気がして振り返る。
するとやはりそこには骸が立っていた。
おかしい。さきほどまでその場所には可愛いクロームが立っていたはずなのに。
「位置を変わってもらいました」
「なんの位置?!」
「それはどうでもいいじゃないですか」
いや、どうでもよくはない。返して可愛いクロームを!
「あと、さりげなくネオプリを定着させようとしないで!」
「どうしてですか、いいじゃないですか。可愛くて君にぴったりです、ねぇネオプリ」
「そうだね、可愛いよネオプリ」
「って、雲雀さん?!」
増えた。
いつの間にかギャラリー増えた。
先程まで何処にも居なかったはずの人物が、いかにも最初から居ました風を装って会話に参加してきた。
「ほらみろ、みんなも賛成してるぞ、ネオプリ」
「うるさいよ、リボーン!」
言いだしっぺであるリボーンが、当然だと言うように骸たちの加勢に入る。
「だいたい、俺はマフィアになる気はないって言ってるだろ!」
「またまたこのツンデレめvvそう言って俺を離さない気だな?可愛い奴めvv」
全力で叫んだ綱吉に、廻りの反応はやれやれと言った様子だ。
リボーンにいたっては照れ隠しだと思いこんでしまっている。
どうする?
この状況、いったいどうしらいい?
綱吉は頭を抱えた。頭を抱えて悩んで悩んで…
「なんか面倒くさくなってきた…」
考えるのが面倒になった。
「さて、じゃあ場も和んだところで、ネオプリ育成開始パーチーを始めるぞ!」
リボーンが仕切って声を上げる。
それに合わせて、集まった仲間達もみんな笑顔で「おう!」と拳を振り上げた。
その笑顔がとても眩しい。
みんなが心から笑っている喜びが綱吉にも伝わってくる。
そうなれば、綱吉も自然と笑えてしまう訳で。
「なら、母さんにいっぱい料理作ってもらわないと!」
ネオ・ボンゴレとか、マフィアとか、物騒な単語ばかりが飛び交っているけれど、でも、大切な仲間がここにいて、大切なリボーンが帰ってきてくれて。それがただ嬉しくて、楽しい。
その気持ちだけは、確かだから。

そうだ。これからもずっと、こうして笑い合えればいい。
いつでも傍で、笑っていて欲しい。
どんな時も、何があっても。
どんな未来がこの先にあったとしても。
「リボーン」
「なんだ」
「おかえり」
「…ああ」
君と一緒に、笑っていよう。

(終)

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