切っ掛けは
多分、些細なことで
意地
昨日の夜、菜花と喧嘩をした。
何が原因かと訊かれたら、覚えていないとしか言い様がなく
些細なことだった、と思う。
それが、可笑しな方向へ行って、お互い熱くなって、言われた一言
「だったら別れましょうか」
何がどうなって"だったら"と言われたのかはやはり分からないが、その言葉は思っていた以上に衝撃的で
直ぐ謝ればよかったものを、何故だかオレは言い返してしまった
「構わねぇ」と
それきり会話も無く、夜が更け昼が活動している間に後悔の念が襲う。
別れるなんて、無理に決まってる
好きで好きで、やっと手に入ったのに
今更手放せる訳もなく、手放す気も無くて
夜になったらさっさと謝ろうと決めたのに、いざ入れ替わると菜花に声すら掛けられないでいた
「………、…」
不安も、妙な意地も、取っ払うように酒の力を借りて
無駄に広い屋敷を菜花を探して歩く。
夜風に酔いが醒めそうだ、なんて思いつつ、長い長い廊下を進んで
角を曲がった先には、探し人。
けれど、その横にある影に思わず足が止まった
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