Side:菜花

昨日の夜、リクオと喧嘩をした。
何が原因かと訊かれたら、残念なことに私は覚えていなくて

多分、些細なことだったんだと思う。
それなのに、可笑しな方向へ行って、お互い熱くなって、言ってしまった一言

「だったら別れましょうか」

勢いで、そんなこと思ってなかったのに、言ってしまって

一度吐き出した言葉は無かったことには出来なくて

「構わねぇ」と、返されて、謝ればいいのに、私は謝らなかった

それきり会話も無く、夜が更ければリクオは昼の若様と入れ替わる。

夜になったら、謝ろうと決めたけれど、肝心のリクオがいなくて

「菜花様、どうかしたんですか…?」

「…首無……」

「元気が無いように見えましたが……私でよければ、話し相手くらいにはなれますよ」

「、ありがとう…実はね、」

廊下に腰掛け、ちょっとした自己嫌悪に陥る。

不意に掛けられた声は首無のそれで、微笑って隣に座る首無に昨日のことを話した


「…リクオ様と……」

「…謝らなきゃって、思ってはいるんだけどね」

「…、#name2#様、少し失礼しますね」

「へ…?ちょ、首無?」

一通り話して、改めて自覚した自分の意地に苦笑すれば笑った首無の手が伸ばされる


「首無、オメェ何やってんだい…?」

「…いえ、髪に塵がついていたので……」

「…、……」

一緒に近づけられた顔に固まっていれば、聞こえたのは愛しい探し人の声で

私にだけ見えるように、小さく笑って立ち去る首無に心の中でお礼を言った




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