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……………。

ん?ちょっと待って。今こいつなんて言った?

………告白したよな?


暫く二人の間に静寂が訪れた後、先に口を開いたのは航と同じくらい真っ赤な顔になってる◯◯さんだった。


「え、は………?」

「っ!!う、うわあああああー!?」

「航さん!?」


航は頭を抱えるとその場でごろごろとのたうち回った。きっと本人も知らぬ内に本音が出てしまったのか。
◯◯さんは戸惑っているが、俺は何故あいつがあぁなっているのかがわかった。


「ち、違う!!こんなはずじゃ!!いや違くないんだけども!!もっとこうカッコよく…あぁもう俺にはカッコよく出来ねぇよ東南風…!!」

「か、航さん…?」

「◯◯ちゃん!!」

「はい!?」


俺を呼ぶな。
航は勢いよく起き上がると◯◯さんの手を掴んでぐいっと顔を近づけた。
あれはもう焼けくそになってるな。そして大声で言った。


「は、はじゅ…っ!初めて◯◯ちゃんに会った時から大好き…っ、です!!俺の彼女になってください…!!」


思いっきり噛んだが聞かなかった事にしよう。

俺的にあいつらしい告白だなと思ったが肝心の◯◯さんの目にはどう映っただろうか。

…多分大丈夫な気がする。


「……航さん」

「は、はい!」

「凄く……嬉しいです」

「えっ?」


やっぱりな。

◯◯さんは航の手を握り返すと笑みを浮かべて上目遣いで見てくる。あぁよっぽど可愛いんだろうか。
あまりの幸せそうな航の表情に羨ましいと思えた。


「私も航さんが大好きです……」

「ほ、ほんとに…?」

「はい。いつも私と話してくれて気にかけてくださって…だけど私の一方的な想いだったらどうしようって。でもそうじゃなくて良かった。私も前からずっと航さんの事…」

「◯◯ちゃん!」


想いが溢れて止まらないのか航は◯◯さんをガバッと抱きしめた。
お前力強いんだからちゃんと加減してるんだろうかと心配したが、その必要は無さそうだった。
◯◯さんがやんわりと航の背中に腕を回したから。


「大切にする。だから……よ、よろしくお願いします…!」

「ふふ、じゃあ私たち、今日から恋人同士なんですね…」

「そ、そうだね…、っ!!」


あ、と思ったのも束の間だった。

ちゅっと可愛らしい音が唇の方で鳴ると、航は完全に固まってしまった。

…◯◯さんって積極的だったんだな。


「航さん…?」

「〜〜〜〜っ!!」

「わー航さん!?」


顔から火が吹くぐらい真っ赤になると航はその場に倒れこんでしまった。
おめでとう航。幸せそうで何よりだな。両思いで良かったな。

というか俺そろそろ帰っていいよな?

そっと静かに歩み出すと空を仰ぐ。今日は本当にいい天気だ。


(…彼女欲しくなったな)


まさか自分の相方にそんな気持ちにさせられるとは。
俺の春はいつになるんだろうか……きっと暫く先だろうな。


背中に幸せそうな雰囲気を感じながら、俺は一人寂しく水軍館に帰る事にした。





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