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休息



 人選は、相手とアリスを使った闘いになることも踏まえて、私と棗君、翼先輩、柚香さんの4人


 大人数になると機動力にかける



 10人足らずでは、どれだけの人数がいるか分からない相手のアジトに乗り込む場合、どちらにしても多勢に無勢



 最小限の人数で奇襲をかける

 シンプルな作戦





 渋っていた柚香さんの出したアジトを教える条件

 私の体調を万全にすること




 通された部屋のベッド

 腰をかけても眠れる気がしない



***
**
*





 正直、名前を母親に会わせてやるべきか分からない

 小さくして、学園に来た俺には母親というものがピンと来ない



 棗と馨さんのやり取りは見ていて面白いし、楽しそうだと思う

 それでも、友達や学園の先生達との関係とどう違うのか



 血の繋がり





 いっそ、忘れて笑って生きる

 そんな選択肢は無いのかな




 そんなことを考えてみても、名前の真剣な表情、柚香さんが話を渋っていたときの悔しげな姿、アジトを聞いたときの決意に満ちた瞳









 彼女の母親に会うという夢を叶えてやりたい

 そして、母親に別れを告げたあとの君を支えてあげたい・・・






***
**
*






 子供たちのすがるような目に逃げ道を無くした・・







 伽耶さんを取り戻して敵を討つ

 果たして、名前ちゃんのためになるのだろうか




 別れを告げたいという気持ち




 それは、果たして叶うのだろうか

 叶えた後、心から笑って過ごすことができるのだろうか




 棗君、翼君、蜜柑、ルカ君に蛍ちゃん、皆がついている

 そうは思っても、心配にならざるを得ない








 だって、人を殺す

 たとえ既に死んでいるとは言え、実の母親を手にかけようとしている子供

 

 すべての事に片が付いた暁に、名前ちゃんの心はここにあるのだろうか・・







 蒼白い顔の名前ちゃんは、自分のアリスが人を殺していると知ってから碌に眠っていないのだろう



 幼い少女をここまで追い詰めた学園のやり方に更なる怒りが込み上げてくる







 そっと開けたドアの向こうにあるベッド

 コロリと横になり、膝を抱えるようにして布団も被らずに名前ちゃんが寝息をたてている






 伽耶先輩、先輩も娘の、名前ちゃんの幸せを願ったのでしょう?


 ふと、蜜柑の顔を見たくなる





 蜜柑の笑顔は暖かい

 いつか、名前ちゃんがあんな風に暖かい笑顔をたった一人でいいから、誰かに向けてくれることを祈る



 空は今にも泣きだしそうな曇り空







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[mokuji]




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