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2度目の来訪

 あの頃より、背丈が伸びてガリバー飴をなめなくても高等部の制服を着こなすことができるようになった



 目指すは、あの時一緒になって高等部へともぐりこんだ影の野郎




 本当は、こんな奴頼りたくなんかない

 正直、あいつはあまり気に入らない



 それが何故なのか、そもそもきっかけのようなものがあったのかどうかすら定かではない



 しかし、高等部に他に知り合いらしき者もいない

 仕方がねぇから、本当にしょうがねぇから例の噂について聞きに来てやったんだと言わんばかりの嫌々オーラが棗の周囲をまとっている





 そのオーラを見て見ぬふりをしながら、久々に見たルカを弄り倒す翼


 中等部に上がってもルカの愛らしさは健在

 やーめーろーよーとジタジタ逃げ惑う姿がさらに翼のいたずら心をくすぐる



 それを見る棗の眼は今にも、辺り一帯を火の海にしてしまいそうで・・




 「てめぇ、いい加減にしやがれ

  さっさと、話さねぇと燃やすぞ」


 と、警告した時には翼の頭の上のニット帽は黒くぶすぶすと燻ぶっていた




 「うおぉ!?本当に燃やすなよ!!」



 一通りの茶番を終えた後、ようやく本題に入る



 「あぁ、あれね

  そんな噂、高等部でも流れたわ

  でも、実際のところどうとかは俺も知らねぇなぁ」



 面倒な茶番に付き合わされたあげく、何の情報も提供できないとなれば、殺意に燃える赤い瞳の彼に消し炭にされても翼に文句を言う資格はないだろう



 「うわぁっ、待て待て待て待て

  殿、殿に聞いてみろよ、殿の親友に情報通のあいつがいるだろ

  殿なら、今、最高学年でほとんど授業もねぇらしいから、今言ったって会える・・」



 殿という単語を聞いただけで、棗の手には真っ青な炎がユラユラリ



 「分かったーっ、分かった、分かった

  俺が、ここに連れてくる!なっ!だから、その火をしまおう!」



 とりあえず、棗の一方的な交渉は成立したようだった




***
**
*





 自分の身を守るため翼が、殿を半ば強制的に高等部へと連れてきた



 「俺だって、暇じゃねぇんだぜ?

  ゆうちゃん、美佳ちゃんと約束だってあったし」


 「グダグダうるせぇ

  噂のことなんか知ってんなら話せよ」

 「・・こいつ、久々に会っても生意気っぷりはちっとも変わんねぇな」



 「知ってんのか、知らねぇのか」



 「・・・」


 「そういう噂があんのは知ってる

  でも、俺は興味ないね」


 「・・・アリスストーンは詳しいんだろ」



 ギュッと拳を握りしめ、突如口を開いたルカに視線を向ける殿



 「やめろ、ルカ」

 「棗、棗だって気になってるんだろ

  聞いたら、何か手がかりになるかもしれないじゃないか」


 「ま、そこまで喋って、秘密もないだろ?

  アリスストーンってなんのことだ?」



 しぶしぶ、ポケットからネックレスを取り出した棗

 殿に向かって投げてよこす




 「・・へぇ、けっこう立派なストーンだな

  実際に使ってみたのか?」

 そっぽを向いたまま、殿の方へ顔もむけようとしない棗に代わってルカが説明を始める



 「・・発動しないんだ

  何の、アリスなのかも分からない」



 「・・・ふぅ〜ん、ちょっと使ってみるか」


 「!?おいっ!!」


 「なんだよ、使わなきゃ意味ねぇじゃん

  使わねぇと何のアリスかなんて判断つかないんだよ」



 「でも、発動しないって」



 「俺を誰だと思ってんの」

 そう言って、殿は不敵に笑い増幅のアリスを発動させながら、ネックレスのアリスストーンを握りしめる



 途端、みるみると殿の顔色は変わっていった


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