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後夜祭

 お祭りも本当に本当にこれで最後・・




 「ねーえ!後夜祭のダンスパーティでラストダンスを踊ったカップルが結ばれる伝説って知ってる?」
 



 「ラストダンス?なんやそれ?」




 ラストダンスはアリス学園の恋の3大イベントの1つ

 中等部からも棗、ルカをラストダンスに誘うため大勢の女子が押しかけてきている

 そのため、朝からパーマの機嫌は最悪




 一方の名前はというと・・

 机に突っ伏して眠っている




 「名前は興味ないんやろか?」

 「名前ちゃん、朝から追い掛け回されて、アリス使って振り切って学校に来たみたいだよ」

 「えぇ!?」





***
**
*





 「名前〜っ!似合う!似合ってる!!」

 と、苗字に抱き付こうとするハゲもとい、影を睨み付ける

 「寄るな、影・・」

 げしっ




 脛を蹴り飛ばされ返り討ちに合った姿に少し気味がいい





 「おぉーっ!名前の奴荒れてんなぁ!」

 「あ、美咲先輩!かわいー!アンド、セクシー!」

 「チビたちも似合ってるぞー!にしても、名前の奴・・ありゃ、ほとんど八つ当たりだな・・」




 「名前、どうかしたん?」

 「朝からいろんな奴に追い掛け回されて、かなりたくさんのアリス使ってたからな」




 と苦笑いする美咲の言葉を聞いて苗字のほうに目を向ける

 言われてみると少し、顔色がよくない




***
**
*





 ダンスを誘ってくる女どもが鬱陶しくなってきて、茂みに逃げ込む

 「痛っ・・」

 暗闇で何かが足元をかすめた




 ガサッ




 「・・日向君」

 茂みの陰から、苗字が顔を出す

 息をのむ、灰色がかった大きな瞳を予想していなかったから





 「・・何してんだよ」

 「・・あんまりしつこく追い回してくるもんだから、避難」

 「今、足元に何か飛んできたぞ」

 「・・ストーカー撃退用トラップ」

 「・・無差別かよ、しょうもねぇことにアリス使ってんじゃねぇよ」

 「・・しょうもなくない、パーティの最中にこんな茂みにやってくる奴に碌な奴はいないから・・無差別でいいの」

 ゴッ

 「・・痛い」

 「てめぇも、その1人じゃねぇか」





 「・・そうだね・・・私は、ろくでなしを通り越して人でなしだから・・」

 そういった苗字は、今にも泣きそうな顔をしていた

 「・・ふんっ」と鼻を鳴らす

 ただ、ほっとけないと思ったから苗字の隣に腰を下ろす





 「・・ストーカーはまだ追っかけてきてんのかよ?」

 「さっき、翼先輩がとっ捕まえて影言霊使って3時間スクワットの刑に処した」

 「・・トラップいらねぇじゃねぇか」

 「・・念のため・・ね」





 こんな他愛もない会話しか思いつかない、それでもお前の気が、少しでもお前を覆う闇から顔を出せたらと・・

 願わずにはいられない




 どれほど大きな闇に包まれているか知らなくとも、




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