■ 第一爆
…まぁ、トリップなのは把握した。夢女子と呼ばれる部類の自分は喜ぼう。
だが誰だコイツは。
誰だこの人。
〜発端、いやマジで誰?〜
地理に疎く歴史についてもあんまり知らない自分が唯一、ファンタジー過ぎて笑いながら歴史アクションゲームをしていた頃があった。いや現在進行形でもしていたけど。今でも大好きだけれども。ゲームの内容はそこそこ覚えていても実際の歴史なんかは全く頭に入らない。伊達政宗は料理好きだった、とかくらいしか知らない。同じゲームをやってたオタク仲間の女子が楽しそうに話す内容を左から右へ受け流してぼんやり残っただけの話。その程度の認識。
どたどたと縁側を行ったり来たり。というかぐるぐると屋敷の廊下を早歩きで追いかけっこなう。こっちは早歩きなのにあっちは優雅に大股でどすりどすりと追いかけてくる。その余裕たっっっっっっぷりな雰囲気を背後から感じつつ早1時間。そろそろ疲れた。
「零龍、何処へ行く気だね?」
普通の学生よりも社会や歴史に弱い自分が何故だかある日突然異世界、もといゲームの世界にかっ飛ばされています。ちなみにさっきの声はきょにゅーだかきょゆーだかの松永久秀。なお俺の本命は西のアニキです。あとほんのり今川。あいつ可愛げあるし。
いやそんな事はどうでもいい、良くないけど今はどうでもいい、筈だ。ぐるぐるぐるぐる、ただ回っていたんじゃその内バターにでもなりそうだ。とりあえず先の質問に返答は返しておくことにした。
「四国又は甲斐!奥州、尾張、越後、中国に九州のどこか!むしろここ以外ならどこでもいい!」
「おや、……ここはお気に召さなかったか」
「当たり前だろーが!!」
散々言うし言ったけど、誰こいつ!!松永ってもっとこう…血みどろで上から目線の冷酷な暇人ってイメージがあったのにここに来てからものの見事に叩き壊されている。惚れたか何だか知らないがやけに、というかゲームやってた時とは比べ物にならない程の砂糖を吐くし(例えな、例え!)、何か距離は近いし、砂糖吐くし、砂糖吐くし、吐くし。ひたっっっっすらベタ甘。
ここまで華麗にぶっ壊れてるといっそ信長公の方がマシに思えるよな。うん。今なら信長公の方が怖くない気がする。明智は気味悪いけど。
「やれやれ、卿は私が居ると言うのに考え事か」
「っぎょあ?!」
人としてやって良い事と悪い事ってあると思うんだけど皆さんいかがだろうか!誰だ皆さん!!俺か!俺の事か?!
心の中でちゃぶ台ひっくり返したみたいな慌て様を繰り広げながら口元を引きつらせる。ええ加減にせい、とチョップの一つでも叩き落としたい衝動に駆られるがそんな事したところで受け止められてしまうに決まってる。それどころか丁度良いとばかりに寄られそうな気がしている。やっぱ近付くのをやめよう。
色気のある声が聞きたいとか言われた気がするが「誰が言うか」と一刀両断しておいた。
「実を言えば卿は常に背後が隙だらけだが―…」
「マジでやめろぉぉぉぉ!」
再び抱きつき+耳元で囁く松永。
ブン殴っていいか!?
……いや、流石にファンに殺されたくねぇから止めておこう。
誰か松永の目を覚まさせてやってくんねーかな…。
「さて…実に名残惜しいが私はそろそろ行かねばね」
「お、何だ、戦か?」
「いや何、独眼竜の爪を貰いに…な」
…ん?
今独眼竜の爪って言ったよな?
アレか?こじゅのストーリーモード突入か?
………マジで?!
「へー…って一ついいか」
「何だね?連れて行って欲しいのならかm「ちげぇよ」そうか…」
「もしかしてそれって人取橋?」
「あぁ…よく知っているな」
「いや一応…」
「卿も来るといい」
「行く行くー」
「…………意外だな」
「え、何が」
「卿が私の行く先について来るのは初めてだろう?」
「……ん、おお、そーだな」
「漸く私と一緒に行動する気g「違うから」…それは残念だ」
「とりあえず行くかー」
「…武器の1つも持たずに行く気か?」
「だってめんどくせーし使う必要無さそうだし」
「………」
「アンタが守ってくれんじゃねーの」
「…クッ…勿論だよ、私の零龍」
「アンタの物になった覚えはねーよ」
「いずれ、卿は私の物になるのだから構わないだろう?」
「出来るもんならやってみろーって奴だな」
「頑張りたまえ」
「こっちの台詞だ」
――――――――――ミ☆
まさかの黒歴史と向き合おうキャンペーン。
でも書いたのが昔のわたしだし文章が恥ずかしいだけで話的には今でもとても好きだったりします。続きはよ(ない)
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