■ 第三十一爪

 


あれれ、刀が使えないや。

君はこの子の刀だろう。

ほら、使われろよ。

…よく出来た刀だなぁ。

この子の意志で無い限り使わせる気は無いんだね。

そうか。

なら、この子の体で狩るまでだ。

この子が真赤に染まるんだ。



動くのが遅いのか、それとも動くのが早すぎるのか

早かろうが遅かろうがいつかは動くんだから。

て言うか最初っから動いてるんじゃね?

気付くのが遅かっただけで。

歯車とかそんなの最初から動いてたのさ。



誰だこの人。31
〜最悪×最低〜



「ぐ、ぁ…」

「旦那…っ!」

「弱い弱い。そんなんじゃ、ボクには勝てないよ」

「く…おのれ…!」

「さて、どうしようかな」

「行かせないって、言ったでしょ?」

「…!」



頬を何かが掠める。

あーあ、この子の体に傷つけちゃった。

駄目だなぁ。

ボクはこの体借りてるだけなのに。

それに、よくも傷をつけてくれたね。

ボクさ、そういう事されるとイラッとするんだ。



「何かしたかい?」

「?!」



迷彩サンの背後に素早く回り込んで頭を殴る。



「っ…!」

「佐助っ!」

「クスクス、じゃあねー」

「待、…!」

「無理無理、その体で動くと死んじゃうよ?」

「無、念…お…やか、た、さま…」



2人とも気絶したようでピクリとも動かなくなった。


― いっそ今ここで狩ってやろうかな


なんて考えたけど気絶してる奴を頂くって言うのは何か嫌なんだよね。

ほら、ポリシーってやつ?

ボクは生きてる奴を狩るのが好きだし。

さて、行こうか。

とてもとてもとてもとてもとてもとても

とても、空腹だ。

耐えられないなぁ…。

あ、でも何を狩ろうか。

大人にしようか子供にしようか。

男にしようか女にしようか。


大人は魂の味は濃いけど硬いし。

子供は魂の味は薄いけど軟らかいし。

男はゴツゴツして煎餅みたいだし。

女は生クリームみたいに滑らかなんだよね。

うーん…迷うなぁ。



とりあえずこの城の外に出よう。

何やら外が騒がしいから落ち着いて考えられないや。



別人となった零龍は空皐を片手にその場から消えた。

歩きもせず、それどころか一歩も動く事無く消えた。

まるで最初から居なかったかのように。












光と闇の狭間

とか比喩?で言うけどここがそうとは思えない。

て言うか眠い。

つーか俺死んでねぇし世界も終わってねぇっつの。

キシャアアアア!あのやろー俺の体乗っ取りやがって!

絶対事を起こす前に取り戻してやる…。

でもどーすっかな。

もし今俺の意識があるのが俺の体の中なら話かけれるくね?

おぉ、そらそうだ。

うん俺の体から外に出て無い事を祈る。




聞こえてっかこの人体ジャックゥゥゥゥ!



とりあえず叫んどいた。

え?何だそれ?

何って、ほら何か乗っ取られたら●○ジャックって言うだろ。

それ。

でも何か語呂悪いな。

うーん…人ジャック?

にん、か
じん、か
ひと、か

迷うなー。

よし、どーせネーミングセンスねーんだからひとでいいや。

ていうか



返事しろやてめぇぇぇぇぇぇぇ!



上に向かってまた叫んでみた。

少しして空から…じゃなくてこの空間全体から声が聞こえた。

あーよかった。まだ体の中だったっぽい。

いや、安心しとる場合か。



『あれ、もう起きちゃったの?』

「当たり前じゃ起きるわ」

『まだ寝てればいいのに』

「俺の体返せこの人ジャック!」

『ネーミングセンス無いんだね』

「んなもん分かってんだよバーカ!」

『とりあえずまだ寝てるといいよ』

「いいから俺の体返せっつってんだよ」

『まだ魂4つしか食べてないんだけど…』

「TEMEEEEEEEEEEEEEEE!!」



何だよ『まだ魂4つしか』って!

後でシめてやる!マジで!



『仕方ないでしょ?生きていく為なんだし』

「それはテメーがだろーがぁぁぁ!」

『何を言ってるの?君もだよ』

「うっせぇぇぇとりあえず体返せ!」

『まぁ、一応いいけど』

「もう絶対テメェ出てくんな!」

『無理だよ。だって、生きる為だし』

「黙れ!そもそも俺はテメーの事知らないんですけど!」

『じゃあ軽く教えておこうかな』

「早くしゃーがれ!」



返答を待ってると耳元に小さく声。



「あまりに堕落した為に世界を失った神様、って言っておこうかな」



何堕落って。

自堕落とかほざくどこぞの天パーか。

て言うかお前が神とかありえねぇぇぇぇ!



とか心で叫んでたら意識が遠のきました。

やっとこ元に戻れるぜー。

一安心した。

んだけどね。

やっぱあの自称神シめてやる。



目が覚めて最初に見たのが4つの死体とか。

手にはしっかり刀。

て言うか空皐ー!

Nooooooooooooo!

何でお前そんな血まみれなんですかー!

いや大方検討つくけどね。

とりあえず空皐の刃についた血は返り血で真っ赤な自分の着物で拭き取った。

刀を鞘に収めて、ちょっと邪魔くさいが帯に差しておく。

さて、やるかー。と手を叩いた時。


ガサリ、と草むらが揺れた。


凄い勢いで音がした方へ振り向く。

何が、誰が、出てくるのかビクビクしながら人が襲いかかって来た時用に刀の柄に手を添える。

音がしてから30秒位。

音がした所から何か黒い物が飛び出た。

と、同時に俺に向かってくる光る鋭い物。


うん、これ明らかに佐助んとこの奴だよな。

俺もしかして何かした?


とか能天気に考えながら投げられた苦無を刀で叩き落とす。


とりあえず逃げていいかなこれ。


ちらり、と4つの死体に目を向ける。

そこからはあっという間だった。

襲いかかってくる苦無を叩き落としながら死体を挟んで忍'sを向かい合う。

空皐を鞘におさめ、両手を合わせる。



「申し訳ない事をした」



俺が詫びるのもあれなんだけど。

まぁ、俺の体だし。

とりあえず合掌して再び空皐を抜…く訳でもなく。

とりあえず全力疾走で森の中へと逃げた。

色々説明したくても実証出来ないし。

多分忍'sは納得しないだろ絶対。

だから今は逃げとく。



少しでも生き延びてあの自称神をシめる。



あと腹いせに松永を蹴る。


幸村も多分巻き込まれただろうから2人に謝らなきゃなんねぇし。

幸村、佐助、とりあえず生きてろよ。


いつか土下座して謝ってやるから。


…あー父上には何て言えばいいんだか。

まぁ、とにかく今は生きる事が大切。

ってか重要目標。



見てろロクでもない神め。

俺は絶対テメーに負けたりしねぇぞ。

むしろ脅し勝ってやるわ。

ギッタギタのボッコボコじゃー!

とりあえず適当に逃げてそれからだ。

着物だって血塗れなんだし今町とかに行けば間違いなく何か凄い事になる。

うん。

どうしようかな、着物。








『踊れ踊れくるくるくるくる』

『ボクの手の平の上で世界は馬鹿みたいに回る』

『ボクがこの世界の新しい神なんだ』










終わろう

――――――――――ミ☆
アレ、ついに殺っちゃったんだけどどうすれば←
零龍は無実じゃあああ!と自分が叫ぶ。
とりあえず松永様はとばっちりで蹴られる事決定の様子。
どんまい松永様!
どこに向かうかは零龍次第。
動きたいように動きます。動かすのは自分じゃなくて零龍です。
自分は零龍が動いた通りに書いてるだけですうん←
だから考えて無いにも程があるぜべいべ。

ここまで読んで頂き有難う御座いました。


[ prev / next ]
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -