■ 第三十爪

 


何もない空間。

あ、でも色はある。

黒。と白。

2色が争うようにお互いを染め合う。

ただボーっと見ていると

頭に 耳に 体に 

響く声。





夢と現実と異次元と未来と過去と

沢山沢山ある

幻想

過去は実際あった記憶

でもいつしかおぼろげになって

幻となる


君は幻に、ならないで。

幻想には、ならないで。

君の世界はここだけしかないのだから。

君は、生きなきゃいけない。
ボクの分身だから

君は、生きる為には奪わなきゃいけない。
ボクが生きる為に

弱肉強食の世であるが故に。
魂狩りは容易いよ

早く、早く早く早く。

魂を、ボクに捧げておくれ。
君も消えたく無いでしょ?


この世界で

君が君として生きていく為には

魂が必要なんだ

他人の魂が


君が正気を保っていられるのはあと数時間

さぁ、魂をおくれ

そうすれば君は君で居続けられるから


君はボクから絶対

逃げられないんだから





そう言えば



今の俺は何者なんだろう



胸が高鳴る



強れつな吐き気を感じたしゅん間



おれの心ぞうからまっ黒な



はながさいたよ



誰だこの人。30
〜動くのが遅すぎる歯車〜



お早う御座います。

一夜あけました。

あの後一発平手で頬殴られました。

拳で殴らなかったのが優しさだと思います。

只今屋敷の牢にいます。


松永の者だと言う事で入ってます。

牢に入れられる時父上が言ってた。



「…すまぬ、零龍」



これだからこの人好きなんだよ。

心が広すぎるだろ。

何で敵な上に騙してた感じの俺に謝るんだか。

何故か心が荒んでる俺。

原因?分かってるよ。どこぞの猿だよ。



「誰が猿だって?」

「おめーだよ鮭」

「まだ鮭って言ってるんだ」

「せめてもの抵抗だ猿め」

「ハイハイ。朝餉」

「…いらね」

「何で?」

「今物が喉通る精神状態じゃねーから」

「へー…珍しい事もあるもんだね」

「んだとコルァ」

「どんなに空気が薄暗くても平気で食べるかと思ってたんだけど」

「うっせーな」

「毒入ってないよ?」

「だが断る」

「食べないと刺すよ」

「だが断る」

「へー本気で殺るよ?」

「ぜひ頼む」

「…はー…飽きた。じゃ、俺様用事あるから」

「何だよ飽きたって…さっさとどっか行ってくれ」



ホント心荒んでるな…。

何で俺、ぜひ頼むとか言ったんだ。

あー俺が腹立つ。俺に腹立つ。

何でこんな荒んでんだよ。

全部あの夢のせいにしとこう。

あと佐助。


そう言えば、あの夢の中で魂云々言ってたなー…。

もしかしてあれですか。

魂狩りだぜヒャッハー!みたいな感じですか。

違うか。

あれか。

「朽○…○夜…!俺は、○解が使えるようになった。今度は負けねぇ!」

「ほう、兄がか…とても信じられんな」

「ル○アは、絶対俺が助ける!」

なあの漫画ですか。

あ、○解の時点でバレてる?

とりあえずそんな展開なら俺は投げだすね。

知るかそんなストーリー。

あー何だろう明らかに主人公らしからぬ事を言いたい。

言っていい?

言っていいよね?



殺りたい。



夢か?!あの夢のせいか?!

あの夢のせいだよな!うん決定!

あーむしゃくしゃするぅぅぅ!

誰かを一発殴りたいです。

でもこの世界でそんな事したら殺されかねないです。

誰か助けてええええー…。



勢いで横になった挙句また寝た俺。




またさっき見た夢と同じ空間。

でもさっきと違う所があった。

俺の目の前に影。



ほら、君が君で無くなっていく
魂が足りないから

君はボクのモノなんだから言う事を聞いて
君壊しちゃうよ?

ボクが居なきゃ君は存在すらしないんだから
さぁ、ボクに従え

君の創造主であるボクに、捧げろ
君が狩った魂をさ

君に親しい人間である程、味は濃厚だから
親しい者を殺して

ボクを、君の心を、満足させようよ
さぁ、早く動けよ



とにかく
魂を
魂を

魂を

寄こせ!




影が俺の心臓を。

掴んだ。



ここで目が覚めて勢いよく起きた。

んだあれ。

何だアイツ。

つーか何で本気で息止まりそうになった。



…ん?…喉痛…。



「零龍ー」

「ゲホッ、ゲホッゲホッ!」

「零龍、殿?どうなされたでござるか?」

「…いや、何でもない」

「んー…アンタ零龍だよね?」

「佐助?」

「あぁ」

「何でそんな殺気だってる訳?」

「知らん」

「やっと本性出てきたって所かね」

「知るか。『これは俺じゃない』…いや俺だ」

「…は?」



えええい!勝手に動くな俺!

何する気だ俺の体で!

【もう耐えられないと体は嘆いてる】

んな訳あるか!俺の体は俺がよく知っとるわ!

【魂が壊れそうだと嘆いてるよ】

んな訳ねーだろたわけぇぇぇ!

【ボクも待ちきれない。さぁ、狩りに行こうか】

あ、てめぇぇぇ!夢に出てきた奴!

余計な事すんじゃねぇぇぇぇぇ!

心で必死に叫んでも体は言う事を全く聞かない。

静かに立ち上がる俺の体。

ちくしょー、覚えてろてめー…。

何故か眠くなった。

体はしっかりと立ってるのに。

『俺は』そのまま意識が無くなった。



「耐えられないんだ。体が、魂が、…『ボクが』ね」

「…ボク?」

「零龍殿、大丈夫でござるか?」

「彼女はボクの手に堕ちた。さぁ、これからだ」

「…アンタ、何者?」

「さぁ…ボクは何者だろうね?」

「見た目は零龍なのに…いつの間に零龍と入れ替わった訳?」

「失礼だなぁ、この体は『あの子』の物だよ」

「零龍殿…一体どうしてしまわれたのだ?」

「ボクが我慢できずに出てきただけさ。『あの子』は今この魂の奥底で静かに眠ってるよ」



――――――――佐助視点―――



咳込んでたから風邪でも引いたのかと思ってたんだ。

けど咳をした瞬間から痛い位の殺気が零龍の体を覆った。

明らかに知ってる零龍じゃない。

話しかけてみれば棘のついた返事が返ってくるし。

変な事を言ったと思えばいきなり立ち上がるし。

最終的には何か別人になってるし。

しかも零龍みたいな奴は怪しい笑み浮かべて話すし。

ホント零龍って何者?

そんな事を考えつつ、旦那が攻撃されそうになった時の為気付かれないように片手に苦無を握る。

ま、最初から零龍は怪しかったけどね。



――――――佐助視点終了―――



あぁ、とても空腹だ。

我慢できないや。

でも『あの子』はコイツらを殺ると怒りそうだ。

それとも、発狂しちゃうのかな?

それとも、自分を殺しちゃうのかな。

全部困るなぁ…。

魂は集めやすくなってもボクが楽しくない。

3つ目が一番困るしね。

仕方ない、味気無くとも他の雑魚で済ませておこうか。



「さて、ボクは失礼するよ」

「待った。何者か知れない以上ここから出す訳には行かないよ」

「何だ、疑うのかい?『この子』の体を」

「俺は『アンタ』を疑ってんの」

「どうでもいいや…とにかく邪魔しないでよ。君をこの体で壊さなきゃいけなくなるから」

「残念だけど、俺様はそういう言葉聞きなれてんだよね」

「そう。じゃあちょっと壊させてもらおうかな?」



普段の零龍なら絶対見せないような笑みを浮かべて、手で空を切った。

何をしているのか、理解できずにとりあえず構えてみたが遅かった。

構えた時には鋭い痛みが右肩から左わき腹まで走ってたから。



「安心してよ、なるべく傷は浅くしてあるから」

「き、貴様…!」

「あれ、傍観してるのかと思ったけど…やるんだ?」

「例え零龍殿の体であろうと貴様は零龍殿ではない!手加減はせぬ!」

「ふぅん…まぁいいけどね。君達がボクの食事第一号になるんだし」

「某は容易に食べられぬぞ…!」

「分かってるよ。でも、ボクからすれば只飛び出た能力を持ったお子様、なんだよね」

「なっ…それならば一度某と手合わせ願おう!」

「(旦那…多分手合わせじゃ済まないぜ…)」

「いいよ。じゃあ殺ろうか」

「(ちょ、アンタ字が違う!)」








終われば。

――――――――――ミ☆
うん何だこの展開。
自分もびっくりだよ何でこうなったし。
まず。

この展開は自分にも読めてませんでした←

普通には終われないだろーと考えてたけど
普通じゃ無さ過ぎる誰だこの人(待って
タイトルはこの零龍さん(別人)の事を指してる訳じゃないです。
一応補足までにね。
さて、これからどうなるのか。

自分と零龍の気分次第です←

ここまで読んで頂き有難う御座いました。


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