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歩く殺意

 


必要の無い人間を殺していく。

俺はその為の存在。





ひたすらに、世界が要らないといったものを自慢の鎌で殺し続ける。

普段は俺自身の体じゃなく、表の体からだけど。

どうしてなのか、殺す事以外を知らない。

いや、考えなくても分かってはいる。

世界が俺に必要なのは、何かを殺す為の感情だけだと言っているから。

だから今日も表の体を借りて、仕事をこなしに行く。



「これ位か」



辺りには血が飛び散って、元々人であった筈のものはもはや原型を留めていなくて。

普通の一般人が来たら何があったか、驚きで倒れてしまいそうな惨状で。

でもそれが、俺には普通の事であって。

次の所へ行くか、と後ろを振り返れば、何時から居たのか人の影。

俺に銃口を向けていつでも撃てるようにしているみたいだったから、代わりに俺は殺気を向けた。

微かに、銃を持つ手が震えている。



「震えてんじゃねーか、下ろせば?」

「お前は誰だ」

「誰だ、って見れば分かんだろ、神様だって」

「俺の知ってるMZDじゃねぇ」

「…何だ、お前参加者なのか」

「それがどうした」



無謀にも俺に銃を向けてる奴は、表の主催するパーティーの参加者。

だったら勝手に殺す訳にはいかない。

もし殺そうもんなら世界が怒ってしまう。

少しだけ萎えたやる気を奮い立たせながら、会話を続ける。



「お前に用はねぇんだよー、つーか俺サマ仕事残ってるからどいてくんね」

「俺はお前に用がある」

「何?」

「ソイツ、俺の標的だったんだが」

「え、そうなの?」



そりゃ、どうも悪い事したもんで。

…本音はすっごいどうでもいい

コイツは元々世界が削除って言ったもんだから俺が殺しても問題はない。

どっちが先に殺すか、ってだけの話。

俺が先に殺したから俺の勝ち。



「コイツは俺サマが先に殺したから、俺サマの勝ち」

「…何だと?」

「俺サマは今お仕事中なんだよ、まだまだ殺さなきゃいけねぇ奴が居るんだ」

「音楽の神が人を殺すなんてな」

「うっせーよ、殺してんのは俺サマだ。つーかどけよ」



じゃないとお前も殺すぞ?



いい加減うざったくなってきた。

人間と話してる暇はねぇんだ。

早くしねぇと仕事を終える前に表が起きちまう。

面倒になったから、なるべく奴一人に向けて殺気を強める。

それでも、動こうとしない。



「何?俺サマの仕事邪魔して死にたい訳?」

「っ……お前が、誰なのか聞くまでは動かない」

「言ったろ、俺サマはMZDだって」

「MZDは人を殺さないと言った」

「じゃあ簡単に言ってやろうか?」



「俺サマはMZDの裏の人格なんだよ」



そう、裏の人格。殺意の塊。

ただそれだけ。

俺はそれ以外の何者でもない。

表の元から持つ殺意を、増幅させて出来たのが俺。

だから、俺は殺す事以外を知らないし、興味もない。



「それ以上話がしたいなら黒神サマか大掃除の日にしてくれ」

「大掃除…?」

「世界と神々による、不必要なものを一斉削除する日さ」



その日、一日だけ俺は自由になる。

少しだけなら相手してやらなくもない。

暇つぶし程度だけどな?



「どうせだ、名前聞いといてやるよ」

「…Mr.KK」

「あぁ、お前が噂の掃除屋か」



前々から思ってた事があるんだ。

俺、お前となら一緒に仕事出来そうな気がするんだよね。

何故、ってそりゃ目的が一緒だから。

邪魔されたら容赦はしねぇけど。



「また会おうぜ」



青い掃除屋。

そろそろ時間が危うくなってきたから、隙だらけな掃除屋の脇を通り抜けて、次の場所へと向かう。

面白そうな奴と出会えた。

俺が、そう思った。

テンションは最高潮、サクサク殺って寝るとするか。






歩く殺意
(殺意以外に感情は無いと)
(そう思ってたんだけど)
(何だ、ほかにもあるじゃん)
(黒神サマに言ったら信じてくれるかな)








――――――――――*
久しぶりに裏神参上!
KKさんは裏と遭遇率が高いらしい
そして気に入られるという
そろそろ裏の設定を固めよう…か

ここまで読んで頂き有難う御座いました。


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