【伊達政宗】



「……What?」
 いきなり目の前に差し出された小さな包みに、政宗は訝しげに眉をひそめた。
「……あの……う、受け取って……もらえないかな?」
 俯く彼女の耳が、赤く熱を持っているのが見えた。小さく震える包みからは、ほのかに甘い香り。政宗は納得したように頷いた。
「Ah、今日はやけにそこら中で甘い匂いがすると思ったが……そういやValentine's dayだったな。で、これはオレに?」
「……うん」
 こくりと頷き、消え入りそうな声で呟く。よほど恥ずかしいのか、彼女はずっと俯いたままだ。
「……Thank you。ありがたく頂くぜ」
 政宗は、震える手からそっと包みを受け取った。すると、両手が空になった彼女が勢いよく顔を上げた。受け取ってもらえるとは思っていなかったのだろうか、その瞳は驚きの色で満ちていた。
「あ、ありがとう……!」
「アンタが礼を言う必要はねぇだろ。Presentを貰ったのはオレなんだから。……そうだな、その言葉はWhite dayにもう一度貰うとするか」
「……え?」
「――これ、手作りだろ? だったらオレも、アンタが好きそうなもん作ってやるよ。……お返しってのはそういうもんだろ?」
 にやりと笑った政宗に、彼女の顔はさらに湯気が出そうなほど真っ赤になった。



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