第79χ モテ期到来?!鳥束ハーレムA




そして放課後になり、鳥束くんはぞろぞろと女子を引き連れて映画館に向かう。
勿論、私もその一人として最後尾について行っているわけだけれど...なぜか鳥束くんが侍らせている女子のレベルが何気に高い。鳥束くんが選んだのかどうなのかはわからないけれど、改めて口寄せの凄さを痛感させられる。

周りを見渡しているとふと見慣れない女の子が目に留まった。
桜色の髪の色が何とも可愛らしい。ショートなのもとてもよく似合っていて、かけている眼鏡と合わせてとても知的そうに見える。この中では群を抜いて可愛いと思う。私の勝手な意見だけれど。

おっと、彼女に見惚れている場合ではなかった。私は彼が女の子達に何かしないか見張りに来たわけであって、女の子漁りではない。今のところ鳥束くんも楽しそうに雑談しているようだし、目立った問題はなさそうだ。
ところで須藤モンテカルロとは誰だろうか。鳥束くんのチョイスはイマイチピンの来ないというのか...ところどころ大人の事情が垣間見えるのは置いておくとしよう。

「ラララーラーラー。」

このまま何もなければいいと思った矢先、突然道端で歌い出す鳥束くん。確かにいい声だけれど、少しおかしい。話を聞いていた限り、女の子達に歌ってとせがまれた様子はなかった...これはもしかして。

「ドゥビドゥバァー。」
「どっ、どうしたの!?鳥束くん、ちょっと街中でやめてよー!」

周りの女の子達も、彼の異常行動に引き気味になっている。これが危惧していた口寄せのデメリットなのだろう。彼は今、自分で口寄せの力をコントロールできなくなっているようだ。次々に入れ替わって、鳥束くんはまるで多重人格でもあるかのように振る舞っている。

「アチャア!!ホワチァア!!誰か私と戦いたい奴はいるかー!」
「うわっ、危ない人だ...」

今度は格闘家でも憑依したのだろうか。叫び散らして女の子だけではなく、周りにいた一般人さえも彼を不審者扱いしている。

しかし、私には彼を止める術ない。こうなったらもう警察を呼ぶしかない。私は携帯を取り出すと、電話番号を押してゆく。そして最後の発信ボタンを押そうとした刹那、聞こえて来たのは鳥束くんのうめき声。

ハッとして声のした方に顔を向ければ、あの知的な少女が鳥束くんを殴り飛ばしていた。...人は見かけによらないと言うのはまったくその通りだと思う。

「鳥束くん、大丈夫...っ?」

私は鳥束くんに駆け寄って口から流れる血をハンカチで拭ってあげる。立ち上がってきたところ、どうやら大丈夫な様子。

「大丈夫っスよ...三日はおかゆしか食べれなそうですが助かりました...」
「やっぱりデメリットはあったみたいだね。それとも鳥束くんの修行不足だったのかも。」

鳥束くんはこのことで反省したようで、自分の力で女の子をゲットすることを約束してくれた。まぁ、もう鳥束くんに寄り付く女の子は学校にはいないだろうけど。侍らせていた女の子達はぞろぞろと帰ってしまったし。

いつの間にか、あの桜色の髪の女の子もいなくなってしまっていた。私からもお礼言いたかった...というよりかは、友達になってみたかったのだけれど。

「...やっぱり俺には仁子ちゃんだけっス!」

...もう一度あの子に会ったら、今度は脳へ鉄槌を下してもらうよう頼もう。





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