第47χ 勤労少女、目良千里@




純喫茶魔美、ここは私の行きつけの店。
ここの存在を知ったキッカケは、この街に越して来たときにお世話になった不動産屋のおじさんが教えてくれたことからだ。

今まで私の中で喫茶店と言うものは、どうしても行きにくいイメージがあったのだが、物は試しと一度入ってみたら見事にハマってしまった。

どこがいいのかと言うと、1つ目は店内の雰囲気が良い。街中にあるおしゃれなカフェと違って、こういう店は同じ雰囲気を好む常連さんが多く、騒がしくなることがあまりない。読者しながらお茶をするのに最適なのだ。2つ目は食べ物が美味しい。ここで色々なものを食べてきたけれど、特にオススメなのがコーヒーゼリーだ。ここのコーヒーゼリーは流石喫茶店だけあって、コーヒーの味が濃く出ている。それに市販のコーヒーゼリーより少し硬めに作られて、食感まで美味しいからつい頼んでしまう。

最近は、色々連れ回されているためあまり足を運べていないが、時間があればすぐここに行くと言って良いくらい通っている。私のこの店への貢献度は中々だと自負している。

そういうわけで約二年ほど通い続けているが、最近小さな変化があった。

「平凡さん、いらっしゃい。いつも来てくれてありがとう。」
「目良さんこそ、いつもお仕事お疲れ様。」

彼女は目良千里さん。私のクラスメイトだ。
最近ここでアルバイトを始めたらしく、今までほとんど話したことなかった彼女とよく話すようになった。
彼女とは色々な話をしてきたけれど、一番驚いたのは昔はお金持ちのお嬢様だったということ。しかし、父親の事業が失敗してからと言うもの極貧生活を余儀なくされて、彼女は家族を養うべく様々なアルバイトを行なっている。
私の覚えている範囲で言えば、早朝の新聞配達と牛乳配達、ガソリンスタンド、中華料理店、ファミレス、弁当屋、造花作りの内職、家庭教師などなど...本当にこちらが心配になるほど彼女は常に働いている。まさに、勤労少女なのだ。

そんな彼女と1つだけ約束したことがある。
彼女がアルバイトしていることを誰にも言わないこと。うちの学校はアルバイト禁止で、それがバレると彼女は学校に通い続けることができなくなってしまう。
私としては彼女がアルバイトしてようとしていまいと、ここでの休息が約束されているならばどちらでも良いと思っている。貴重な同性のクラスメイトが一人いなくなってしまうのも、少し寂しいとも思うからこのことを誰にも言うつもりは毛頭ない。

彼女は今日も苦しい顔せずハキハキと働いている。そんな彼女を時折見ながら読書するのも悪くない。
今度何かご馳走してあげようかな。




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