第46χ ψ起をかけてのψチャレンジ!(後編)@




僕の名前は中西宏太。
僕が「緑」と出会ったのは23歳の時だった。その時、僕は普通の会社員。入社して一年、慣れない仕事に追われて何かと悩むことが多かった。
そんな時、相談に乗ってくれたのが「緑」だった。彼女は会社近くの喫茶店で働いていて、いつだって僕の愚痴や悩みも笑って聞いてくれた。そんな彼女の安心感に僕は惹かれていった。
そして、僕は思い切って彼女にプロポーズした。プロポーズは見事成功して僕達は結婚した。

しかし、その幸せは長くは続かなかった。
突然の解雇...結婚して僅か一ヶ月後のことだった。あまりの出来事に僕は自暴自棄になり、支え続けてくれた彼女もついには出ていってしまった。

それから2年、僕はイリュージョニストになった。まだ不安定だけれど生活もできるようになった今。もう一度彼女に僕の姿を見て欲しくて、今日の舞台の招待状を彼女に送った。

「今日の舞台はそんな想いが込持っているんです...」

波瀾万丈な人生を歩んで来たのはよくよくわかったけれど、まさかその「緑」さんと言うのが彼女だったなんて。

「フッ...久しぶりだね...宏ちゃん...」

いや、まさか燃堂くんのお母さんだったなんて。蝶野さんのイメージ映像と全然違うんですけど!新手の詐欺にあったような気分...ダメだ、段々頭痛くなって来た。
楠雄くんも信じられないと言わんばかりに困惑の表情を浮かべている。伏線も一切ないし、困惑するのも無理はない。あぁ、楠雄くんまで頭を抱えちゃった。

世間は狭いとはよく言ったもので...これからはもっと人には注意していこうと思う。こうやって巡り巡ってひょんな事で関わりあうことがあるかもしれないのだから。

「オメーら誰かに似てんなー。」

しまった、蝶野さん達に夢中になっていて燃堂くんがいたのをすっかり忘れていた。目元しか隠していないし、見る人が見たらすぐにバレてしまう。燃堂くんがのじっと見つめる視線が痛い...もう、突き刺さる視線は勘弁してほしいのだけれど。

「いや、メガネと耳が違ェな。てっきり相棒の斉木ってやつと平凡ってやつかと思ったぜ。」

燃堂くんが素直で本当に助かった。本当にバレる前に早くここから退散したいところだけれど。

「頼む...!もう一度やり直してくれないか!?」
「止めてよ、もう私達は二人で幸せに暮らしてる...終わったのよ...もう。」

何と言うか...昼ドラ特有のドロドロ感。まさかこんな身近に見られるなんて。斉木夫妻とはまた違った元夫婦関係があって、夫婦関係も様々なのだとぼんやりと思った。
...そんな見ている場合じゃなくて早く帰らなきゃ!

「サイケルとバニケル、どこ行くんだい?まだ第二部のショーが始まるんだけど。」

バニケルってなんだ。マイケルさんとバニーガールをうまくかけたつもりなんだろうけど全然面白くないから!...って、第二部?





*まえ つぎ#
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