セミがあちこちで騒がしく歌って、頭上から太陽がこれでもかと降り注ぎ、地面を焦がす。
私の大嫌いな季節。
ザア……、ザア……。波が、引いては押し寄せる。
私から"あの人たち"を奪っていった季節。
あぁ、こんなに嫌で嫌で仕方なかったのに、
かけがえなのない、"君"に出会えた……。
絶対に、忘れないよ。
私を変えてくれた、
とても長くて、とても短い夏休みの、
あの……"大冒険"を。
絶対に、忘れないよ……。
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一九九九年。その年の夏は地球全体が可笑しかった。
テレビや新聞で毎日のように報道される世界中の異常気象。東南アジアではまったく雨が降らず、水田が枯れ、中東では大雨により洪水が発生。アメリカでは記録的な冷夏となった。共にこの異常気象は恐怖の大王が空からやってくるのではないかという、ノストラダムスの大予言に関する話題で世間は盛り上がっていた。
八月一日。子供会のイベント、サマーキャンプのため御神渓谷を訪れていた何十人もの子供たち。その中の"八人"は何も知らずに居た。それが誰も知らない世界での冒険の始まりになることを……。